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固定資産税を滞納するとどうなる?払えないときの対処法と対策とは

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収入が減少したり、予期せぬ相続が発生したりすると、固定資産税の支払いが厳しくなるケースが増えています。その際に直面するのが、延滞金の発生や財産の差し押さえといった深刻な事態です。

固定資産税は、土地や建物を所有している限り毎年支払い続けなければならない税金であり、一度滞納が始まると連鎖的に問題が大きくなっていきます。

しかし、納付が困難な場合でも、分納制度や減免措置など、さまざまな救済制度が用意されています。

本記事では、固定資産税の基礎知識から滞納時の対処法まで、実践的な解決策を詳しく解説します。

固定資産税の基礎知識

固定資産税は土地や建物を所有する人なら誰もが支払う義務を負う税金です。支払い方法や軽減制度など基本的な知識を把握することで、計画的な納税が可能となります。

固定資産税の計算方法

固定資産税額は土地や建物の評価額に税率をかけて算出されます。具体的には、市区町村が3年ごとに見直す固定資産税評価額に、標準税率1.4%を乗じた金額となります。

例えば、評価額2,000万円の物件であれば、年間の固定資産税は28万円となるわけです。評価額は実勢価格の約7割に設定されるのが一般的で、土地と建物は別々に計算されます。

建物は経年劣化による減価償却分が考慮され、年々評価額が下がっていく仕組みとなっています。

支払い時期と支払い方法

固定資産税の納付は、毎年4月から5月頃に市区町村から送られてくる納税通知書に基づいて行います

支払いは年4回に分けて納付するのが一般的です。具体的な納付月は自治体によって異なりますが、多くの場合、4月・7月・12月・2月となっています。

支払方法は金融機関やコンビニでの窓口納付のほか、口座振替やクレジットカード納付など、各自治体が定めた方法から選択できます。

定期的な支出となるため、口座振替を利用すると納付忘れを防ぐことができるでしょう。

固定資産税の軽減制度とは

固定資産税にはさまざまな軽減制度が用意されています。なかでも広く活用されているのが住宅用地の特例です。

この制度では、200平方メートルまでの小規模住宅用地の場合、固定資産税が本来の評価額の6分の1に軽減されます。

住宅を新築した場合は、一定期間、税額が2分の1になる制度も設けられています。この新築軽減は一戸建ての場合3年間、マンションなら5年間適用されます。ただし2024年3月31日までに建築された住宅が対象となるため、新築を検討している場合は期限に注意が必要です。

固定資産税を滞納するとどうなるのか?

固定資産税の納付を怠ると、段階的に厳しい措置が取られていきます。初期段階での適切な対応が、その後の深刻な事態を防ぐ鍵となります。

ここからは、以下の時系列に沿って具体的な影響を見ていきましょう。

  • 第1段階:延滞金の発生と督促状が届く
  • 第2段階:差し押さえの対象となる
  • 第3段階:公売にかけられる

それぞれ個別に解説します。

第1段階:延滞金の発生と督促状が届く

納期限を過ぎた翌日から延滞金が自動的に発生します。延滞金の利率は期間によって異なり、1か月以内は年2.4%ですが、それを超えると年8.7%に跳ね上がります。

例えば、本来の税額が30万円の場合、1か月以内なら月600円程度ですが、1か月を超えると月2,175円もの延滞金が加算されることになります。

このような延滞が発生すると、納期限から20日以内に督促状が送付されます。督促状は単なるお知らせではなく、法的な効力を持つ重要な文書です。

この段階で自治体に相談することで、分割納付などの道が開ける可能性が高くなります。

第2段階:差し押さえの対象となる

督促状が届いてから10日を経過しても納付されない場合、財産の差し押さえ対象となります。差し押さえは預貯金や給与から始まり、最終的には不動産にまで及びます。

差し押さえ前には、役所の徴収職員による財産調査や預金調査が実施されます。この調査により、勤務先や取引金融機関にも滞納の事実が知られることになり、社会的な信用にも影響を及ぼす恐れがあります。

第3段階:公売にかけられる

差し押さえられた不動産は、税金への充当を目的として公売にかけられます。公売は一般の不動産取引よりも大幅に安い価格で売却される傾向にあり、多くの場合、市場価格の7割程度になると言われています。

一度公売が実施されると、所有者の意思で売却を止めることはできません。また、売却後は速やかな退去を求められ、住む場所を失う可能性すら考えられます。

このように、滞納から公売までの過程は、経済的にも社会的にも大きな影響をもたらします。特に差し押さえや公売といった事態は、一度発生すると取り返しがつかない状況に陥る可能性が高いため、早い段階での対応が欠かせません。

固定資産税が払えなくなる主な原因

どのような状況で支払いが厳しくなるのか、主な原因を理解することで、事前の対策を講じることも可能です。多いのは、以下のような理由でしょう。

  • 収入が減少して支払いが厳しくなった
  • 相続により予期せぬ納税義務が発生した
  • 住宅ローンとの二重負担で苦しくなった

次項より、詳しく解説します。

収入が減少して支払いが厳しくなった

収入の減少は固定資産税の支払いを困難にする最も一般的な要因です。とりわけ定年退職後の収入減少は深刻な問題となっています。退職前は給与所得で余裕を持って納付できていた税金も、年金生活に移行すると支払いが厳しくなりかねません。

また、昨今の社会情勢を反映し、会社の業績悪化による給与カットや失業によって、突然の収入減少に見舞われるケースも増加傾向にあります。

固定資産税は毎年定期的にかかる費用であるため、一時的な収入減少であっても、その影響は長期に及ぶ可能性があります。

相続により予期せぬ納税義務が発生した

相続による不動産の取得は、思わぬ納税義務を生む要因となります。相続税の支払いに意識が向きがちですが、実は固定資産税の負担も大きな問題といえるでしょう。相続した不動産が複数ある場合や、不動産の評価額が高い場合は特に注意が必要です。

相続人の多くは、被相続人が支払っていた固定資産税の具体的な金額を把握していないことが少なくありません。

また、遺産分割協議が長引くケースでも、その期間中の固定資産税は発生し続けます。このような状況下で、予想以上の税負担に直面し、支払いが困難になるケースが見受けられます。

住宅ローンとの二重負担で苦しくなった

住宅ローンを抱えている場合、固定資産税との二重負担は家計を圧迫する大きな要因となります。

固定資産税は長期にわたって継続的に発生する支出であるため、変動金利のローンを組んでいる場合は要注意です。金利上昇により返済額が増加すると、固定資産税の支払いにも影響が及ぶ可能性があります。

住宅ローンの返済額は毎月の家計に直接響くため、固定資産税の納付時期が重なると、一時的に大きな支出となって家計を圧迫します。このような状況が続くと、どちらかの支払いが滞る事態に発展することも珍しくありません。

固定資産税を滞納しそうになった際の対処法

固定資産税の支払いが難しくなったとき、最も避けるべきは放置することです。納付が困難な状況に陥った場合でも、次のような対処法があります。

  • 自治体の窓口に分納や延納を検討の相談をする
  • 減免制度や軽減措置の申請を確認する
  • 不動産売却や任意売却の可能性を探る

以下より、個別にみていきましょう。

自治体の窓口に分納や延納を検討の相談をする

支払いが困難な状況に直面したら、まず自治体の窓口への相談が有効な手段となります。

督促状が届く前の段階で相談すれば、分納制度を利用できる可能性はより大きいでしょう。分納制度を利用すると、年4回の納付を毎月の分割払いに変更することも可能です。

例えば、年間30万円の固定資産税であれば、毎月2万5千円程度の支払いに分けることで、一度の負担を軽減することができます。

ただし、分納が認められても支払いを怠ると、分納の承認が取り消される場合もあります。分納計画は自身の収入状況を踏まえて、確実に履行できる金額で設定することが重要です。

減免制度や軽減措置の申請を確認する

自治体によって、さまざまな減免制度や軽減措置が用意されています。とりわけ災害による被害を受けた場合や、生活保護を受給している場合などは、固定資産税が減免される可能性があります。世帯の収入状況によっても、一定の軽減措置が適用されます。

減免や軽減の申請には、収入証明書などの書類提出が必要となります。申請期限が設けられている制度も多いため、該当する可能性がある場合は、早めに自治体への確認を取ることをおすすめします。

制度を知らないために受けられる恩恵を逃すことがないよう、積極的な情報収集が欠かせません。

不動産売却や任意売却の可能性を探る

支払いの目途が立たない場合は、不動産の売却を検討する段階に入ります。特に複数の不動産を所有している場合は、一部を売却することで残りの固定資産税の支払い原資を確保するという選択肢もあります。

売却を検討する際は、不動産業者に相談し、適正な市場価格での取引を目指すことが賢明です。

住宅ローンの返済も滞っている場合は、任意売却も視野に入れる必要があります。任意売却は、金融機関の同意を得て自主的に不動産を売却する方法です。競売と比べて高値での売却が期待でき、売却後の生活再建も計画的に進めやすくなります。

売却を決断する前に、複数の不動産業者に相談し、最適な方法を見極めることが重要といえます。

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まとめ

固定資産税の滞納問題は、早期の対応が何より重要です。支払いが難しくなりそうだと感じた時点で、すぐに自治体の窓口に相談することをおすすめします。

分納制度や減免措置など、さまざまな救済制度が整備されているにもかかわらず、それを知らないまま滞納を続けてしまうケースが少なくありません。

特に注意したいのは、督促状が届いてからでは選択肢が限られてしまうという点です。

そのため、現在の経済状況や将来の収入見込みを冷静に見極め、必要に応じて不動産の売却なども視野に入れて対応しましょう。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

川村 有毅 (司法書士)

私が司法書士になる前は、接客サービス・営業等、お客様と直に接する仕事に長く携わってきました。
そこから、お客様とのコミュニケーションを事務的にせず、お話をしっかりと拝聴し、問題を共有することの大切さを学びました。
お客様と接する機会をもっと重要視し、人と人とのつながりを大切にします。
お客様に人の手のぬくもりが感じられる「あたたかな安心」を提供いたします。

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