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離婚時に財産分与をしないで済む方法はある?法的取り決めや交渉手段について解説

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夫婦の共有財産を分割するという財産分与の基本的な仕組みや、財産分与請求権が夫婦それぞれにあるということは、広く知られています。

しかし、離婚の際に財産分与をしたくない場合、具体的にどのような方法を取ればよいのか。あるいは、トラブルを避けるためにはどのような点に注意すべきなのかといった点については、わからないことも多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、離婚時に財産分与をしないための方法や、関連するトラブルへの対処法などについて、詳しく解説します。

離婚時に財産分与をしたくない場合は公正証書に残す必要がある

財産分与は、離婚する夫婦がそれぞれ持つ権利(財産分与請求権)であり、その権利を行使するかどうかは各人の自由です。つまり、夫婦がお互いの意思に基づいて財産分与請求権を放棄することに合意した場合には、財産分与をする必要はありません。

ただし、財産分与請求権の放棄を一方的に強制することはできないため、もし夫婦の一方が財産分与をしたくない場合には、もう一方を説得するしかありません。

話し合いを重ねた結果、お互いに財産分与請求権を放棄することに合意できたら、その内容を離婚協議書に明記します。さらに、合意内容を公正証書の形で残しておくことも強くおすすめします。

公正証書とは、公証人が作成する公文書の一種で、その記載内容について高い証明力を持つ法的文書です。離婚協議書を公正証書として作成することで、後日、財産分与請求権の放棄について争いが生じるリスクを軽減できます。

公正証書を作成する際には、公証人から法律面でのアドバイスを受けられるというメリットもあります。財産分与請求権の放棄が、夫婦の一方に著しく不利益になっていないかなどを確認してもらえるので、トラブルを未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。

離婚時の財産分与については、弁護士や公証人などの専門家に相談しながら、慎重に進めていくことが肝要です。

離婚時に財産分与をしなくてもよいケース

次のようなケースでは、離婚時の財産分与は必要ありません。

  • 除斥期間を超えている
  • 特有財産について揉めている
  • 会社の財産を分与しようとしている

それぞれ詳しく解説します。

除斥期間を超えている

財産分与請求権には、離婚成立日から2年という除斥期間が設けられています。この期間内に請求を行わないと、たとえ離婚時に財産分与について何も決めていなかったとしても、請求権そのものが消滅してしまいます。

除斥期間は、法的には時効とは異なる概念ですが、権利を行使できる期間が限定されているという点では類似しています。つまり、2年の除斥期間を過ぎてしまうと、財産分与請求権は完全になくなってしまうのです。

離婚の際に「財産分与をしない」と夫婦間で合意していたとしても、その後の生活状況の変化などを理由に、一方が財産分与を請求するケースがあります。しかし、除斥期間が終了していれば、たとえ合意内容に不満があったとしても、請求を拒否することができるのです。

ただし、除斥期間の起算日は、離婚成立の方法によって異なることに注意が必要です。

  • 成立方法 起算日
  • 協議離婚 離婚届の受理日
  • 調停離婚 離婚調停の成立日
  • 審判離婚 離婚審判の確定日
  • 裁判離婚 判決の確定日もしくは和解成立日

このように、離婚の成立方法によって、除斥期間の起算日は大きく異なります。起算日を誤認すると、気づかないうちに除斥期間が経過し、財産分与請求権を行使できなくなってしまう危険性があります。

離婚後の財産分与については、専門家のアドバイスを受けながら、除斥期間にも十分注意を払って対応することが重要です。万が一、除斥期間経過後に財産分与の請求をされた場合には、毅然とした態度で拒否することが可能であることを念頭に置いておきましょう。

特有財産について揉めている

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を分割するためのものです。したがって、婚姻前から所有していた財産は「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象とはなりません。

例えば、結婚前から所有していた預貯金、不動産、株式などは、特有財産として扱われるため、分与を要求されても拒否することができます。結婚後に相続や贈与などでご親族から引き継いだ財産も、たとえ婚姻中に取得したものであっても、財産分与の対象から除外されます。

ただし、相手方から特有財産についても財産分与の請求があった場合、それが特有財産であることを立証する責任は、所有者側にあります。預貯金であれば通帳や取引履歴、保険や株式であれば加入日や取得日が分かる書類などを用いて、婚姻前からの財産であることを証明する必要があります。

特有財産を巡っては、しばしば夫婦間で意見が対立するケースがあります。特に、婚姻中に特有財産の価値が大きく増加した場合などは、その増加分を財産分与の対象とすべきかどうかで争いになることもあります。

会社の財産を分与しようとしている

会社経営者が離婚する際に、よくトラブルになるのが「会社の財産」の扱いです。特に中小企業の経営者の場合、個人の財産と会社の財産の区別が曖昧になっていることがあり、離婚に際して会社の財産まで分与の対象にされそうになることがあります。

しかし、会社名義の財産は、たとえ経営者個人が実質的に所有していたとしても、法的には会社という別人格の所有物となります。したがって、原則として個人の財産分与の対象にはならないはずです。

ただし、会社の財産であっても、実質的には経営者個人のものと見なすべき場合もあります。例えば、会社の資金を経営者が私的に流用していたような場合です。こうしたケースでは、会社の財産についても財産分与の対象となる可能性があります。

財産分与をするなら損をしないために知っておくべきこと

万が一財産分与が発生したときのために、以下の点について把握しておきましょう。

  • 相手方の財産
  • 特有財産の証明

次項より、個別に解説します。

相手方の財産

財産分与の交渉を自分に有利な条件で進めるためには、相手方が保有するすべての財産を正確に把握することが不可欠です。

もし相手方に隠し財産があるにもかかわらず、それに気づかないまま財産分与の話し合いを進めてしまうと、結果的に自分の財産から多くを持ち出さなければならなくなる可能性があります。

したがって、離婚の際には、まず相手方に対して財産の開示を求めることが重要です。ただし、相手方がこれに応じない場合もあるでしょう。そのようなときには、「調査嘱託制度」や「弁護士会照会制度」といった法的手段を活用することを検討すべきです。

調査嘱託制度とは、裁判所の許可を得て、金融機関などに対して相手方の財産に関する情報の提供を求める制度です。一方、弁護士会照会制度は、弁護士会を通じて、相手方の勤務先や取引先などに照会を行い、財産に関する情報を収集する方法です。

特有財産の証明

財産分与の交渉で自分に有利な結果を導き出すためには、特有財産を主張することも効果的な方法の1つです。

特有財産とは、夫婦のどちらか一方に帰属する財産を指します。具体的には、婚姻前から所有していた財産や、婚姻中に相続や贈与によって取得した財産などがこれに当たります。

財産分与の対象となるのは、あくまでも夫婦の共有財産です。したがって、特有財産に該当するものは、原則として財産分与の対象から除外されることになります。

ただし、ある財産が共有財産なのか特有財産なのかを判断することは、それほど簡単ではありません。財産の取得時期や経緯、名義、資金の出所などを詳細に調査し、特有財産であることを証明しなければならないのです。

相手方から財産の開示を求められた場合の対応法

もし、離婚の相手方から自身の財産の開示を求められた際には、次の対処法を採りましょう。

  • 相手方と話し合う
  • 弁護士会照会制度の活用

それぞれ詳しく解説します。

相手方と話し合う

離婚に際して財産分与を行う場合、相手方配偶者との直接の話し合いや調停の場で、自分の財産状況を開示するよう求められることがあります。このような場合、あなたには開示請求を拒否する権利があります。

ただし、注意しなければならないのは、調停の場であなたが開示請求を拒否したとしても、相手方配偶者が「調査嘱託」という法的手続きを利用することで、あなたの財産状況を把握できる可能性があるということです。

調査嘱託とは、裁判所を通じて金融機関などに対し、特定の個人の財産状況について照会を行う制度のこと。この手続きが行われた場合、たとえあなた本人が許諾していなくても、金融機関などは裁判所の要請に応じて情報を開示することになります。

つまり、調停の場であなたが財産の開示を拒否したとしても、相手方が調査嘱託を活用すれば、結局のところあなたの財産状況が明らかになってしまうかもしれないのです。

したがって、財産分与の交渉に臨む際には、自分の財産状況が相手方に知られるリスクを十分に認識しておく必要があります。単に開示請求を拒否するだけでは、財産を守り切れない可能性があるのです。

弁護士会照会制度の活用

調査嘱託と同様に、相手方が「弁護士会照会制度(23条照会)」を利用した場合にも、あなたの許諾なしに財産状況が開示されてしまうリスクがあります。

弁護士会照会制度とは、弁護士が職務を遂行するために必要な情報を収集する目的で、弁護士会を通じて公的機関や団体に対し、報告を求めることができる制度です。つまり、相手方が弁護士に依頼することで、この制度を利用し、あなたの財産に関する情報を入手することが可能なのです。

弁護士会照会を受けた公的機関や団体は、原則として報告義務を負うと解釈されています。したがって、たとえあなたが情報の開示に同意していなくても、照会を受けた機関は弁護士会に対して回答を行うことになるでしょう。

まとめ

夫婦間の合意内容を公正証書で残すこと、除斥期間を意識すること、特有財産を適切に主張すること、相手方の財産状況を正確に把握することなどが、財産分与をめぐるトラブルを防ぐためのポイントとなります。

しかし、財産分与の問題は複雑であり、専門的な知識が求められるケースも少なくありません。離婚時の財産分与について悩みや不安を抱えている方は、ぜひ弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

この記事の監修者

監修者プロフィール写真

丸岡 智幸 (宅地建物取引士)

訳あり不動産の買取を専門にする会社の代表取締役。
相続やペアローンによる共有持分、空き家、再建築不可物件、借地、底地など、権利関係が複雑な不動産の買取を専門としている。
訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」、空き家、訳あり不動産CtoCプラットフォーム「空き家のURI・KAI」を運営。
買取の経験をもとに、訳あり不動産の解説をする著書『拝啓 売りたいのに家が売れません』を2024年5月2日に出版。

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