
実家の相続などで空き家を所有したケースにおいては、物件所在地が地方のいわゆる「田舎エリア」に存在する場合も多々あるでしょう。そういったエリアは賃貸需要が少なく、売却の難易度も人口密集エリアより高くなってしまいます。
そこで本稿では、田舎に建っている空き家を売却する方法について論考しますので、ぜひお役立てください。
目次
田舎の空き家が売却しづらいと言われる理由
賃貸需要がない
田舎の空き家の売却が難しい大きな要因のひとつとして賃貸需要のなさが挙げられます。通常、空き家の市場価値を左右する要素としては「賃貸需要」「築年数」がありますが、「住みたいと思う人が少ない=賃貸需要が少ない」エリアに建っている物件は、築年数に関わらず、買い手探しが非常に難しいのです。
もとから田舎エリアに住んでいる人は戸建て物件を持っているケースが多く、都会からの引っ越してくる人のなかにも一定割合で「実家をそのまま使う」場合があるという背景も影響しています。
築古の物件がほとんど
空き家の市場価値を決める要因として、築年数も重要であると前述しましたが、田舎に建っている空き家は築古物件がほとんどでしょう。戸建て物件は「築20年」を境にして、市場価格の下落幅が大きくなるのが一般的です。
田舎に存在する空き家は、20年よりもさらに築年数が進んだ物件が多く「老朽化している」「1981年5月31日以前に建てられたため、新耐震基準を満たしていない」などのケースも珍しくありません。
対応可能な不動産会社が少ない
空き家の売却を行う際には、まずは不動産会社と媒介契約を締結して、仲介による買い手探しを検討するのが一般的でしょう。しかし、田舎エリアでは仲介を依頼できる不動産会社の数自体が少ないのが実情です。
仲介による売却では、不動産会社側は“成功報酬”として支払われる契約金額の数%分の仲介手数料が報酬となります。そのため、買い手探しが難しく、高額な契約金額も見込みづらい田舎の空き家売却の仲介は、積極的に取り扱わないのです。
仲介手数料の割合については宅建業法によって上限が決められており、以下のようになっています(※1)。
たとえば田舎の空き家を100万円で売却できたとして、不動産会社側の報酬は5万円程度になってしまいますので、あまり旨味がないのです。
維持費がかかる
売り出し価格がいくら安かったとしても、維持・管理にかかるコストが高額になりがちである点も、田舎の空き家の買い手が見つかりにくい要因です。戸建て物件は経年とともにどんどん老朽化していきますが、前述の通り田舎の空き家は老朽化しているケースが多々あります。
購入者側からしてみれば、物件を購入したあとに大規模なリフォームや修繕作業を行わなければならないとなると、「改修にかかる費用」も含めて購入の是非を判断してしまうのです。
田舎の空き家を売却するコツ
リノベーションを実施する
田舎にある空き家を居住用住宅として売却したいのであれば、購入者が「住みたい」と思えるように適宜リフォームやリノベーションを実施する必要があります。
それぞれの定義については、以下の通りです。
- リフォーム…物件のマイナス部分を新築と同等の状態に戻す工事
- リノベーション…既存の物件に新たな付加価値をプラスする改装工事
上記の通り、物件を古い状態から新しい状態にするという意味ではリフォームもリノベーションも変わりません。しかし、物件本来の「持ち味」を活かした内装にするなら、リノベーションの方が工事の規模が小さく済む可能性があります。
なお、空き家を購入したいと考える層の中には、一定割合で「自分で好きなようにリフォームorリノベーションをしたい」と考える人も存在します。
そのため、売却のための物件改修については「どういった層に訴求するのか」も踏まえて、物件も状態も鑑みつつ検討しましょう。
取り壊して更地にする
前述のように、田舎の空き家はそのままでは買い手探しが非常に難しいため、更地にして「土地のみ」での売却も検討しましょう。土地のみの売却であれば「新築を建てたい」「事業用の土地として活用したい」といった層に訴求できます。
解体費用こそかかってしまうものの、いつまでも空き家を売却できず、固定資産税を支払い続ける必要があるリスクを鑑みれば、早期に解体してしまった方が損失を抑えられる可能性があります。
一方で、空き家を解体すれば固定資産税に対する「住宅用地の軽減税率」が外れ、支払額が最大6倍になってしまうリスクがある点には留意が必要です。
通常の売却が難しい場合の選択肢
訳あり物件の買取専門業者に依頼する
一般市場で売却が難しいと考えられる田舎の物件であっても、訳あり物件の買取専門業者なら、スピーディな買取を行ってくれるケースがあります。
本ブログで情報発信を行っている「Wakegai(ワケガイ)」も、訳あり物件を積極的に買い取っている専門業者です。最短1日で最大3億円の一括支払いも可能ですので、空き家の売却方法についてお悩みの方は、ぜひ下記のフォームよりお問い合わせください。
空き家バンクに登録する
田舎の空き家を売却する際には、自治体が運営している空き家バンクを利用するのも選択肢のひとつです。空き家バンクとは、地方自治体や委託を受けた業者が運営する、空き家情報を掲載するためのWebサイトです。
空き家バンクへの登録自体は無料で行えますので、スムーズに買い手が見つかれば、僅かな支出で物件を売却できるかもしれません。一方で、空き家バンクでのマッチング対象者は自治体が管轄する市町村内に在住、あるいは移住予定者に限られる点には留意が必要です。
寄付や寄贈する
空き家の所在エリアによっては、自治体やNPO法人は不動産の寄付・寄贈を受け付けているケースがあります。寄付であれば、売却益自体は得られないものの、少ない負担でに身軽になることが可能です。
しかし「寄付の受付は土地のみ」といったケースでは解体が必要になったり、営利団体に寄付する場合には相手側に譲渡所得税が課税される可能性がある点には注意しましょう。
まとめ
田舎の空き家は賃貸需要が少なく、築古であるケースがほとんどであるため、そのままでは売却が難しいのが一般的です。そのため、売却の際にはリフォームや家屋部分の解体が求められる場合も多々あります。
もし、田舎の空き家をそのままの状態で売却したいなら、訳あり物件の買取専門業者に直接買取の打診をしてみましょう。
※1 REDS,「仲介手数料の法定上限金額とは」,https://www.reds.co.jp/system/term/fee/,
(2022/07/21)