立ち退き

入居者に立ち退きをしてほしい場合どうする? 交渉の流れやうまくいかないときの対処法を解説

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賃貸マンションやアパートなどを経営していると、入居者とトラブルが発生してしまうことがあります。入居者との問題が解決せず、「退去してほしい」と考える場合もあるでしょう。また、自己都合で立ち退きをお願いしたいと思うこともあるかもしれません。

しかし入居者が「退去したくない」という意思を持っている場合、スムーズな立ち退きが難しくなります。そこで今回は入居者に立ち退き交渉をするときの流れや、交渉がうまくいかないときの対処法などを解説します。

 

■立ち退きとは?

まずは、「立ち退き」について詳しく解説します。立ち退きは、どのようなときでも要求できるわけではありません。立ち退き要求ができるケースや、入居者に対して支払う立ち退き料などについて説明します。

 

・立ち退きとは?

「立ち退き」とは、不動産を借りている人(賃借人)がその物件から退去することです。不動産オーナー(賃貸人)から退去を要求するときに多く使われます。当事者の合意や法・判例などで認められている理由での契約解除や、契約の更新を行わなかった際などに、物件からの退去を求めることができます。

 

・立ち退きを要求できるケース

賃貸人から立ち退き要求をする場合は、正当な理由が必要になります。「正当な理由」とは何でしょうか?一例をご紹介します。

 

立ち退きを要求できるケース①賃借人が家賃を滞納している場合

長期間にわたって家賃を滞納している場合や家賃滞納頻度があまりに多い場合などは、賃貸人から立ち退きを要求できます。家賃滞納期間については明確な基準がありませんが、3ヶ月を目安にするケースが多くなっています。

家賃滞納による立ち退きは、今までの賃借人と賃貸人との関係性や家賃滞納時の対応などによっても退去させることができるか否かは異なります。

 

立ち退きを要求できるケース⓶賃借人が契約違反をしている場合

賃貸借契約をするときに交わした約束を賃借人が破った場合、立ち退きを要求できます。例えば、無断で契約者以外の人を住まわせていたり、ペット禁止物件でペットを飼育していたりするケースです。

 

立ち退きを要求できるケース③不法占拠している場合

不法占拠とは、法的な権利や根拠なく物件を占拠することを言います。この場合、賃貸人は立ち退きを要求できます。

 

立ち退きを要求できるケース④建物の使用を必要とする事情がある場合

建物の使用が必要となる事情がある場合、立ち退きを要求することがあります。例えば、仕事の都合で遠方に住んでいた賃貸人が戻ってくることになり、その物件に居住したい場合、賃借人に退去を求めるケースがあります。ただし、自己都合による立ち退き要求には一定の金銭的補償(立ち退き料)がなければ認められない場合が多くなっています。

立ち退き料については、後ほど説明します。

 

立ち退きを要求できるケース⑤建物が老朽化したため建て替える場合

建物が老朽化し耐震性などに不備が出てきた場合、補強や建て替えの工事を行うケースが多くなっています。その際に立ち退き料を支払い、立ち退きを要求することがあります。

極端に老朽化して重大な危険がおよぶ可能性がある場合には、立ち退き料を支払わなくても立ち退き要求ができるケースがあります。

 

・立ち退きを要求できないケース

賃貸人から立ち退き要求をする場合は、上述したような正当な理由が必要になります。「賃借人の性格や人間性が気に入らないから」などといった主観的な理由では、立ち退き要求はできません。

また、賃貸借契約には「更新」があり、所定の期間が過ぎた場合には契約の更新手続きが必要となります。(更新の有無は地域によって異なります。)賃借人側が「更新したくない」と思えばそれで退去となりますが、賃貸人側が「次回の更新はしたくない」と思ったとしても、上述したような正当な理由がない限りは立ち退きを要求することはできません。

 

 

・立ち退きの「正当な理由」に明確な定義はない

立ち退き要求をするためには「正当な理由」が必要だとお伝えしましたが、明確な定義はありません。そのため、賃貸人と賃借人双方の事情などを考慮して決められます。賃貸人から一方的に契約解除を求める場合には、「信頼関係が破壊されている」という事情が判断基準となります。

ケースによって細かな事情が異なることから、一見似ているケースでも裁判になって判断が違う場合があります。「知り合いのオーナーがこのようなケースで立ち退き要求できたから、自分もできるだろう」と思っていても、できない場合もあるため気をつけましょう。

 

・立ち退き料とは?

立ち退き料とは、賃貸人側の都合で退去してもらう場合に賃借人に渡すものです。引っ越し代や新居の敷金・礼金・仲介手数料などの費用にあててもらうために支払います。

しかし、立ち退き料はあくまでも通例であり、法律上の支払い義務があるわけではありません。また「立ち退き料を支払えば退去させられる」というわけではないため、気をつけましょう。

 

立ち退き料の目安

立ち退き料に明確な決まりはありませんが、「家賃6ヶ月分+引っ越し費用」を支払うケースが多くなっています。

立ち退き料とは、賃借人が新しい住居へ移るために支払われる費用のため、必要な費用には個人差があります。そのため、賃貸人が「これくらいの金額でいいだろう」と思っていても賃借人はそれを不服として、立ち退き料値上げを交渉してくる可能性もあります。

 

立ち退き料が発生しない場合

建物の使用を必要とする事情がある場合や建物が老朽化したため建て替える場合などで立ち退きを要求するときは、賃借人側に非があるわけではないため、立ち退き料が発生するケースが多くなっています。

一方、賃借人の家賃滞納や契約違反などの理由による退去の場合は、立ち退き料が発生しないケースが多いです。

 

■立ち退き交渉の流れ

「賃借人に立ち退きをお願いしたい」と考えた場合、どのような流れで要求したらいいのでしょうか?ここでは、立ち退き交渉の流れについてご紹介します。

 

・立ち退き交渉の流れ①立ち退き請求書を送る

立ち退きをお願いする際に渡す書面を「立ち退き請求書」と言います。この書面では、立ち退きを要求する理由や退去時期・立ち退き料の有無などを記載することになります。

賃借人の家賃滞納や契約違反による立ち退き要求の場合、賃貸人が感情的になり書面上で相手の気分を害する文書を書いてしまうことがあります。喧嘩腰にならず、なぜ立ち退き要求をするのか、今までの経緯や正当事由を客観的に記述しましょう。

 

・立ち退き交渉の流れ②話し合いは文書や録音で残しておく

賃貸人と直接交渉をする場合、あとから「言っていない」と言われないように、文書や録音で残しておきましょう。また、賃貸人も「退去してほしい」という目的が先立って嘘や隠し事などをしないようにしましょう。あとから事実と異なることが判明した場合、賃貸人にとって不利になってしまいます。

賃借人が交渉に応じない場合や、そもそも連絡がつかなくて交渉自体ができない場合などの対処法は、のちほどご紹介します。

 

・立ち退き交渉の流れ③退去手続きをする

立ち退きに合意を得た場合、立ち退き料や退去日を決めましょう。合意を得られない場合は、調停や裁判などに発展します。

 

 

■立ち退きに必要な条件とは

賃借人に退去してもらうためには、下記条件が必要となります。

 

・必要な条件①契約解除

賃貸人と賃借人の双方が退去に合意している状態です。または、家賃滞納や契約違反などで信頼関係が崩壊しているケースです。一方的に解除したい場合の判断は非常に難しく、一度程度の家賃滞納では契約解除ができない場合が多くなっています。上でも述べたように、家賃滞納の回数や頻度・これまでの対応など総合的な事情が考慮され、「信頼関係が崩れている」という判断がされたときに契約解除となります。

 

・必要な条件②更新拒絶

契約期間終了の1年から6ヶ月前に更新をしない旨を通知することが通例です。しかし、「更新」だからといってどのような場合でも更新拒絶ができるわけではありません。上記の「立ち退きを要求できるケース」でお伝えしたような正当な理由が必要となります。

 

・賃借人は法で守られている

借地借家法によって借地人の権利は強く守られているため、立ち退き要求をしても難しい場合があります。裁判などに発展した際も、法で守られていることから賃貸人にとって不利な状況になるケースもあります。このように、立ち退き交渉がうまくいかない場合はどうしたらいいのでしょうかについては、次にお伝えします。

 

■立ち退き交渉がうまくいかないときの対処法

立ち退き交渉に応じてもらえなかったり、賃借人と連絡がつかなかったりする場合の対処法をお伝えします。

 

・弁護士に交渉代行を依頼する

自分(賃貸人)自身で交渉しようとすると、法律知識が不足していたり感情的になったりしてしまうことから、うまくいかない場合があります。そのようなときは、弁護士に依頼して交渉を代行してもらうこともひとつの方法です。不動産関係に詳しい弁護士を選ぶといいでしょう。弁護士に交渉を依頼することのメリットとデメリットについて、のちほどご紹介します。

 

・裁判で立ち退きを求める

賃貸人と賃借人の間で解決しない場合、裁判をすることもひとつの方法です。裁判となると自分自身で行うことは難しいため、弁護士に依頼することになります。

 

・不動産を売却する

不動産自体を売却し、煩雑な契約関係から抜け出すこともひとつの方法です。問題のある物件は市場価格よりも安くなってしまいますが、立ち退き交渉にかかるコストや労力を省くことができます。

 

 

■弁護士に交渉代行してもらうメリットとデメリット

自分(賃貸人)自身で交渉することが難しい場合、弁護士に立ち退き交渉を代行してもらうという方法があります。その際のメリットとデメリットをご紹介します。

 

・弁護士に交渉代行してもらうメリット

まずは弁護士に立ち退き交渉を代行してもらう際のメリットをお伝えします。

 

メリット①労力を費やすことなく解決できる

立ち退き交渉でトラブルになると、精神的ストレスや時間を費やしてしまいます。代行してもらうことで、これらの負担がなくなることはメリットと言えます。

 

メリット②スピーディーに進行できる

法律のプロである弁護士に代行してもらうことで、効率よく解決まで進めることができます。早く退去してもらうことができれば、新しい入居者を早く迎えることができます。

 

メリット③滞納している家賃を支払ってもらえる場合も

家賃滞納によって立ち退きを要求する場合、退去させることはできても家賃の回収が難しいことがあります。しかし、弁護士に依頼することでそのときの状況に応じた適切な対処をしてくれるため、家賃回収が可能になる場合もあります。

 

メリット④裁判になった場合もスムーズ

裁判になってから弁護士に依頼するよりも、立ち退き交渉の段階で弁護士に代行をしてもらっていれば、訴訟がスムーズに進みます。訴訟への手続きなども代行でしてくれる場合があるため、労力の削減にもなります。

 

・弁護士に交渉代行してもらうデメリット

弁護士に交渉代行をしてもらうことはメリットがある反面、デメリットもあります。

 

デメリット①弁護士費用がかかる

弁護士に依頼をすると相談料や着手金・成功報酬などの費用が発生します。いくらかかるかは事務所によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

 

デメリット②賃借人との関係が悪化する可能性がある

弁護士を介入させることで賃借人からのイメージが悪くなり、関係性が悪化する可能性があります。立ち退き後も関係を良好に保ちたい場合は、よく考えるといいでしょう。

 

■立ち退きに関してお困りの場合は、プロに相談をしよう

「入居者が家賃を支払ってくれないから出て行ってほしい」「立ち退き要求をしているけれど、受け入れてもらえない」など、立ち退きに関してお困りの場合はプロに相談をするといいでしょう。

交渉の段階から弁護士に依頼をすることで、穏便かつスムーズに解決することが期待できます。また、不動産自体を売却することで煩雑な契約関係やトラブルから脱却することも可能です。不動産業者に相談する、という方法も視野に入れてみてほしいと思います。

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