「共有名義の不動産を、他の共有者が独占している場合はどうなる?」
「共有不動産を使えない場合、家賃相当額を請求できる?」
共有名義の不動産を他の共有者が独占している場合、原則として共有持分を持っているという理由だけで明渡しを求めることはできません。一方、無償使用の合意などがなければ、自分の持分に応じた使用対価を請求できる場合があります。
2023年4月施行の改正民法では、持分を超えて共有物を使用する共有者の対価の償還義務が明文化されました。
本記事では、訳あり不動産の専門家であるワケガイ編集部が、共有不動産を独占された場合の対処法や家賃請求の考え方、共有関係を解消する方法について解説します。

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共有持分の窓口の詳細はこちら共有者が共有不動産に住んでいる場合どうなる?
不動産を共有している共有者が、その不動産を独占して居住している場合、どのような対処ができるのでしょうか。具体的には、次のとおりです。
- 明渡し請求ができない
- 持分を超える使用について対価を請求できる
それぞれについて、個別に解説します。
明渡し請求ができない
共有者は、持分に応じて共有不動産の全部を使用する権利を持っています。そのため、他の共有者が単独で居住している場合でも、共有持分を持っているという理由だけで、直ちに明渡しを求められるわけではありません。
ただし、占有に至った経緯や共有者間の合意、共有物の使用方法に関する決定などによっては、明渡し請求が認められる場合もあります。
持分を超える使用について対価を請求できる
共有者の1人が自分の持分を超えて共有不動産を使用している場合、他の共有者は、その使用に対する金銭を請求できます。
民法第249条第2項では、共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対して、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うと定められています。
そのため、他の共有者が不動産を独占している場合、家賃相当額を基準として、自分の持分に応じた使用対価を請求できる可能性があります。
ただし、共有者間で無償使用を認める合意がある場合などは、請求できないことがあります。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
共有持分権者とは?
共有持分権者とは、不動産などの財産を複数の人で共有している際、共有持分の所有権や、それに伴って発生するさまざまな権利を持つ人を指します。
不動産の共有持分権者は、共有持分に応じて権利を有していますが、「共有持分が1/2ずつだから、建物の半分が自分のもの」という物理的な考えではなく、「不動産全体に対して1/2の割合の権利を持っている」という概念的な定義がなされています。
それでは、共有持分権者が持つ権利とはどのようなものがあるのでしょうか。共有持分権者が単独「できる」ことと「できない」ことについて、ご紹介します。
変更(処分)行為には原則として全員の同意が必要
不動産全体の売却や、建物の形状・効用を著しく変更する行為には、原則として共有者全員の同意が必要です。
具体的には、以下の行為が該当します。
【変更(処分)行為】
- 不動産全体の売却・贈与
- 建物の解体・建て替え
- 建物の形状や効用を著しく変更する増築・改築
- 共有不動産全体への抵当権の設定
一方、2023年4月施行の改正民法では、形状や効用の著しい変更を伴わない「軽微変更」について、持分の過半数で決定できるようになりました。
外壁や屋上防水の大規模修繕なども、工事内容によっては軽微変更に該当します。そのため、工事の規模だけで共有者全員の同意が必要かどうかが決まるわけではありません。
なお、共有者は自分の共有持分だけであれば、原則として他の共有者の同意なく売却できます。
「管理行為には持分の過半数の同意が必要」
共有不動産の管理行為は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決定します。
2023年4月施行の改正民法第252条第1項では、共有物を使用する共有者がいる場合も、持分の過半数で管理事項を決定できることが明記されました。
管理行為には、主に以下のようなものがあります。
【管理行為】
- 共有物の使用方法の決定
- 一定期間内の賃貸借契約の締結
- 形状や効用の著しい変更を伴わない改修工事
- 賃貸借契約の管理に関する事項
なお、共有者間の決定に基づいて不動産を使用している共有者に特別の影響を及ぼす場合は、その共有者の承諾が必要です。
また、民法第252条第4項では、持分の過半数で設定できる賃借権等の期間について、土地は原則5年以内、建物は3年以内などと定めています。
ただし、借地借家法の適用などで期間内の終了が確保されない賃貸借については、原則として共有者全員の同意が必要です。
「保存行為」は個人の判断で可能
他の共有者が不利益にならないことを前提として、共有物の物理的現状を維持する「保存行為」なら、他の共有者の合意なしで実行できます。民法でも「各共有者が保存行為をすることができる」とされています。保存行為の具体例については、下記のとおりです。
【保存行為】
- 修繕
- 無権利者に明途請求・抹消登記請求
- 法定相続による所有権移転登記
例えば「塀が倒壊する」「木が伸びて道路にかかっている」などの場合、共有者の合意なしに独自の判断で対処可能。知らない間に知らない人に駐車場として使われていた場合などでも、単独で立ち退きを要求できます。
賃貸借契約をした場合の家賃受け取りはどうなる?
共有名義の不動産は第三者に貸し出すことも可能です。ただし、賃貸借契約をした場合、下記のような事柄が懸念されます。
- 持分割合ずつ請求できる
- 代表者が受領し、分配する
- 共有者が第三者に勝手に貸し、家賃を独占している場合
次項より、それぞれについてみていきましょう。
持分割合ずつ請求できる
共有名義の不動産で賃貸借している場合、家賃は「可分債権」として扱われます。可分債権とは、分けることが可能な債権のことで、金銭などもこれに当てはまります。
そのため、賃料は各共有者が持分に応じた額を貸借人に請求可能。例えば、AとBが1/2ずつ共有持分を持っている不動産で、8万円の賃料で貸すとした場合、それぞれ4万円ずつ請求できます。
代表者が受領し、分配する
貸借人が複数の賃貸人(共有者)に家賃を支払うと手間がかかってしまいます。そのため、1人の代表者に支払い、その後代表者が共有者に持分に応じた賃料を分配するのが一般的です。
家賃を受け取る代表者の変更は「管理行為」にあたるため、独自の判断で行うことはできません。
共有者が第三者に勝手に貸し、家賃を独占している場合
AとBが共有する不動産を、Bの同意なくAが第三者のCに貸し出した場合、Bはどのような請求ができるのでしょうか。
Aが家賃を独占している場合、BはAに対して、持分に応じた賃料の分配や使用対価の支払いを求められる可能性があります。
ただし、Cに対して直接賃料相当額を請求できるかどうかは、賃貸借契約の有効性やCが不動産を使用する権限の有無などによって異なります。
また、Cに対する明渡し請求についても、Aが賃貸借契約を締結したという理由だけで、必ず認められないわけではありません。共有者間の合意や持分割合、賃貸借契約の内容などを確認する必要があります。
共有名義の不動産で家賃請求できないケース
前述したように家賃相当の金銭請求をすることができるケースもあれば、そうではないこともあります。請求できない場合とはどのようなケースなのでしょうか。3種類のシチュエーションを想定して、それぞれについて解説します。
占有することを合意している場合
AとBの共有不動産について、BがAの単独使用を認めている場合でも、使用対価を請求できるかどうかは合意内容によって異なります。
Aが無償で使用することまで合意していれば、原則としてBはその合意に反して使用対価を請求できません。
一方、単独使用を認めているだけで、無償とする合意がない場合には、民法第249条第2項に基づいて使用対価を請求できる可能性があります。
共有していた内縁のパートナーが死亡した場合
内縁関係にあったAとBが不動産を共有しており、Aが死亡した場合、Aの相続人とBとの間で、不動産の使用をめぐる問題が生じることがあります。
この場合、Bが引き続き無償で居住できるかどうかは、不動産の取得経緯やAとBの間にあった合意などによって異なります。
そのため、Aの相続人がBに対して使用対価や明渡しを請求できるかどうかは、個別の事情を確認する必要があります。
共有関係を解消したい場合は、共有持分の売却や共有物分割請求などを検討できます。
被相続人と同居していた相続人が住んでいる場合
親が所有していた不動産に、生前から同居していた相続人がそのまま住み続ける場合、他の相続人が家賃相当額を請求できないことがあります。
最高裁平成8年12月17日判決では、被相続人の許諾を得て建物に同居していた相続人について、特段の事情がない限り、遺産分割が終了するまで無償で使用できる旨の合意があったものと推認されると判断されました。
そのため、このような使用貸借関係が認められる場合、他の相続人は原則として使用対価を請求できません。
ただし、同居の経緯や被相続人の意思などによって結論が異なる可能性があります。
共有関係の解消方法
不動産を2人以上の名義で所有していると、あらゆるトラブルを招くため「共有関係を解消したい」と考えるのではないでしょうか。
実際に、どのようにしたら共有状態を脱することができるのかについては、以下のとおりです。
- ①:不動産を売却する
- ②:共有者に共有持分を買い取ってもらう
- ③:自分が相手の共有持分を買い取る
- ④:持分放棄をする
- ⑤:共有物分割請求をする
- ⑥:買取業者に買い取ってもらう
次項より、個別に紹介します。
①:不動産を売却する
まず、不動産を売却により手放すことで共有関係も解消できます。ただし、前述したように共有不動産の売却には共有者全員の合意が必要。
さらに、手続きや立ち会い等にも全員が関与しなければなりません。共有者の中に1人でも非協力的な人がいれば、売却は難しいでしょう。
②:共有者に共有持分を買い取ってもらう
自分の共有持分を他の共有者に買い取ってもらうのも、共有状態を解消する方法の1つです。自分の所有権はなくなりますが、共有関係から解放されます
共有持分の買取価格は、基本的に話し合いで決めることが可能。その際には、不動産の時価を基準にするようにしましょう。
共有者に持分を買い取ってもらう場合にいくらが妥当か知りたいなら、まずは共有持分の簡易査定ができるので以下より試してください。

③:自分が相手の共有持分を買い取る
自分に資力がある場合、相手の共有持分を買い取り、自分の単有にすることも検討できます。しかし、相手が持分を売却することに同意しない場合、原則として強制的に買い取ることはできません。
ただし、民法第253条第2項では、共有者が管理費などの共有物に関する負担を1年以内に履行しない場合、他の共有者が相当の償金を支払って、その共有持分を取得できると定めています。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
この制度を利用できるかどうかは、未払いとなっている費用や負担義務の内容などを確認して判断する必要があります。
④:持分放棄をする
共有者が話し合いに応じない場合など、持分放棄を行えます。
これは、民法第255条において「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定められています。
(参考:e-Gov 法令検索「民法」)
例えば、AとBが共有名義で持っている不動産をAが持分放棄した場合、自動的にBにその権利が移行します。Bの同意なしに持分放棄をすることもできますが、登記手続きの際にはBの協力が必要です。
⑤:共有物分割請求をする
共有物分割請求とは、共有状態を解消するために、各共有者に認められた権利です。
共有者間で分割方法について協議がまとまらない場合や、協議そのものができない場合には、裁判所に共有物の分割を請求できます。事前に調停を行う必要はありません。
裁判所による分割方法には、以下の3つがあります。
- 現物分割
- 価格賠償
- 換価分割
それぞれの方法について解説します。
現物分割
現物分割は、不動産を物理的に分ける方法です。この方法は建築物が建っていない土地のみの場合に適用されることがほとんど。
例えば、AとBで共有持分が1/2の土地の場合、分筆によりその土地を半分で分けるのが一般的です。“ただ分けただけ”では、AとBそれぞれの単有にはならず、両方ともAとBが1/2ずつ所有している状態になります。
そこで、自分の共有持分を相手に譲り合うことで、登記上2つに分配することができるのです。
価格賠償
価格賠償は、共有者の誰か1人がすべての持分を買い取り、他の共有者に代償金を支払う方法です。
現物分割が不可能な場合や、共有者の中の一人が取得を希望している場合、または取得者に資力がある場合などに価格賠償が選択されます。
しかし、資力がない状態で「借金してでも買い取るように」という要求をされることはありません。
換価分割
換価分割とは、第三者に売却して、経費を差し引いて残ったお金を共有持分に応じて共有者全員に分配する手法です。
現物分割も物理的に不可能で、代償分割は資力がなく難しいと判断された場合、換価分割が選択されます。「第三者への売却」とは「競売」を指します。
競売に発展すると、市場価格よりも低い金額で売却される。あるいは、全国に公開された競売情報を確認するため、不動産会社が直接見に来ることでプライバシーを侵害されるおそれがあります。
そのため、なるべく他の方法で分割するようにしましょう。
⑥:買取業者に買い取ってもらう
「共有者と話し合いができない」「連絡が取れない」などの状況では、自分の共有持分のみを専門の買取業者に売る……、という選択肢が有効です。
自分の共有持分のみの売却であれば、他の共有者の同意は必要ありません。一般人への売却は難しいかも知れませんが、専門業者であれば積極的に買い取ってくれることがあります。
市場価格の売却額よりは低くなるものの、「他の共有者への訴訟となって弁護士費用がかさんでしまう」「競売で売却益が低くなる」といった可能性を考慮すれば、有用な選択肢といえるでしょう。
まとめ
共有名義の不動産を他の共有者が独占している場合、共有者間の合意や使用状況によって、明渡し請求や使用対価の請求が認められるかどうかが異なります。
2023年4月施行の改正民法では、持分を超える使用に対する対価の償還義務が明文化されました。また、共有物の形状や効用を著しく変更しない軽微変更については、持分の過半数で決定できるようになっています。
共有者間で話し合いがまとまらない場合は、共有物分割請求や共有持分の売却によって共有関係を解消する方法もあります。
「ワケガイ」では、共有持分を含む訳あり不動産の買取に対応しています。共有不動産の管理や売却でお悩みの方は、ぜひご相談ください。





















