空き家

所有している空き家に他人が住んでしまったらどうする? 不法占拠者の対処法と空き家の活用方法を解説

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近年、「空き家問題」は深刻で、その数は年々増えている状況です。実は、「空いている」ことをいいことに、他人が勝手に住みついてしまうことは稀なことではありません。

もし自分が所有している空き家に他人が住んでいることがわかった場合、どうしたらいいでしょうか?今回はそうならないための対策もあわせて解説します。

現在、空き家を所有している人はもちろん、将来的に相続で空き家を所有することになりそうな方も参考にしてください。

■空き家に所有者ではない人が住んだ場合、どうなる?

所有者の了承を得ずに空き家に勝手に住むと「不法占拠」となり、犯罪となります。具体的には下記の罪に問われることになります。

 

・住居侵入罪に問われる

住居侵入罪とは、正当な理由がないのに、他人の住居などに侵入した場合に成立する犯罪です。「正当な理由がない」とは、住人や管理人などの意思に反して不法に侵入することを指します。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となります。

 

・不動産侵奪罪に問われる

不動産侵奪罪とは、他人の不動産を了解なく占有した場合に成立する犯罪で、10年以下の懲役に処せられます。不動産のうち土地は、地面のみではなく地上や地下も含まれます。

 

 

■空き家に住んでいる人を退去させる方法

もし自分が所有している空き家に他人が住んでいることがわかった場合、どのように対処したらいいでしょうか?その方法をご紹介します。

 

・警察に通報する

見知らぬ人が所有している空き家に住んでいることがわかった場合、すぐ警察に通報をしましょう。空き家に無断で住みつくような人は危険人物である可能性があります。犯罪に巻き込まれてしまうかもしれないため、直接交渉は避けた方がいいでしょう。

 

・明け渡し請求をする

不法占拠者に対して明け渡し請求をすることもひとつの方法です。その際は弁護士に依頼するといいでしょう。

 

・自力救済は禁止

自力救済とは、権利を侵害された権利者が裁判などの公的救済手段に頼らず、自力でその権利を取り戻すことをいいます。不法占拠をしているからと言っても、武力や腕力で無理やり追い出したり、不法占拠者の荷物を無断で捨てたりする行為(自力救済)は禁止されているため注意しましょう。警察や弁護士に相談し、法律に従った対応が必要です。

 

■空き家を不法占拠されないための対策

不法占拠されてしまってからの対処は大変です。そもそも空き家に他人が住まないように、事前に対策をしておきたいものです。ここでは、その方法をご紹介します。

 

・定期的に訪れ清掃する

草が生えっぱなしであったり、ポストに郵便物が溜まっていたりすると空き家だとわかり、狙われてしまうことがあります。定期的に訪れ、清掃するようにしましょう。

また、家屋も定期的な換気をしないと劣化につながってしまいます。家回りと同時に家屋の清掃も行うといいでしょう。空き家を出る際には、窓や玄関の施錠を忘れないことも重要です。

 

・倉庫や物置は撤去する

カギがかかっていない倉庫や物置などは侵入されやすいため、撤去しておきましょう。撤去できない場合は、カギをかけることがおすすめです。人が入れる広さの軒下がある場合も注意が必要です。侵入できないよう対策をしておきましょう。

また、空き家は不法占拠だけではなく放火もされやすくなっています。燃えやすいものなども撤去しておくといいでしょう。

 

・民間サービスに依頼し、見回りや管理をしてもらう

「遠方に住んでいるから空き家を管理することが難しい」「高齢だから清掃ができない」などという場合は民間サービスに依頼するといいでしょう。見回りだけのサービスから、オプションで草むしりやポスト清掃・家屋の換気・屋根の雪下ろしなどを行ってくれる業者もあります。費用やサービス内容は業者によって異なるため、確認するといいでしょう。

 

 

■空き家を放置することのリスク

空き家を放置すると、不法占拠者が発生する可能性がある他、あらゆるリスクが考えられます。

 

・建物の倒壊によって損害賠償責任を求められる

空き家を放置していると建物や塀などが劣化し、台風や地震などを機に倒壊してしまう可能性があります。通行人にケガをさせてしまったり、隣家の壁などを破損させてしまったりすると、損害賠償責任を求められるかもしれません。また屋根やブロック塀などは重量があるため、倒壊したことによって命にかかわる事故につながってしまう恐れがあります。

 

・不法投棄をされてしまう

草が生い茂り人気のない空き家は、ゴミなどを投げ捨てられてしまう可能性があります。飲み物やお菓子のゴミなどをはじめ、テレビなどの大型ゴミを不法投棄されてしまうケースも考えられるでしょう。不法投棄した人が見つからなければ、最終的に空き家の所有者が処分しなくてはいけなくなってしまいます。大型ゴミは処分するために費用がかかるため、負担を強いられることになるでしょう。

 

・近所迷惑になる

外壁がはがれ落ちていたり、ポストから郵便物があふれていたりするような空き家は、街の景観に影響を及ぼしてしまいます。また、見た目はもちろん、ゴミによる悪臭や建物の倒壊による被害などで近隣住民に迷惑をかけてしまう場合があるでしょう。直接文句を言われたりトラブルに発展したりする可能性もあります。

 

・自分の子どもや孫に迷惑をかける可能性も

空き家を所有し続け自分が死亡した場合、自分の子どもや孫が相続することになります。

土地の価値は年月と共に変化するため、過疎が進めば今よりもさらに価値が下がるでしょう。そうなると、ますます手放すことが難しくなってしまいます。次の世代やまたその次の世代に迷惑をかけてしまう可能性があることを頭に置いておきましょう。

 

・空き家対策特別措置法によって「特定空家」に指定される

2015年に制定された「空き家対策特別措置法」によって、適切な管理がされていない空き家を「特定空家」に指定する制度ができました。

 

空き家対策特別措置法とは?

空き家問題を解消するべく制定された空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)は、「空き家法」と呼ばれることもあります。空き家対策特別措置法が制定される前は、自治体が独自で条例をつくり対策が行われていましたが、法的効力がないことが問題となっていました。

自治体の条例では所有者の許可を得られなければ敷地内入ることができませんでしたが、空き家対策特別措置法では、管理がされていない空き家に対しては自治体の職員やその委任した者が敷地内へ入って調査ができるなど、空き家問題解消に向けてより積極的な関与ができるようになりました。

 

特定空家とは?

下記に当てはまる空き家が「特手空家」と指定されます。ちなみに、空き家の定義は「建築物又はこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」と定められています。

 

【特定空家となる条件】

・倒壊などの危険となる恐れがある

・衛生上有害となる恐れがある

・適切な管理がされていないことによって著しく景観を損なっている

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切であると判断した場合

 

特定空家に指定された場合

特定空家に指定されると、自治体から所有者に建物を管理するよう指導を受けます。指導を守らなければ、科料の支払いや行政代執行による取り壊しに発展する可能性があります。

また、固定資産税の住宅用地特例から除外されれば固定資産税額が上がり、負担が増えるでしょう。

 

■空き家にかかる費用

住んでいない場合でも、空き家に関する権利や義務は所有者が有することになります。所有している限りあらゆる費用がかかるため、ご紹介します。

 

・固定資産税・都市計画税

不動産を所有していると、空き家であっても1月1日現在の所有者に固定資産税や、地域によっては都市計画税がかかります。さらに空き家の場合、通常よりも固定資産税が高くなる場合があります。通常の宅地の場合、固定資産税は軽減措置によって標準課税額の1/6まで引き下げられます。しかし、空き地の場合で軽減措置が適用されなければ、通常よりも高くなってしまいます。

 

・損害賠償費用がかかる場合も

上記の「リスク」で損害賠償責任を問われる可能性があることを上述しました。その際に損害賠償費用の支払いを求められるケースがあります。

 

・火災保険

空き家は放火をされたり、災害に対処できず火災が発生したりする可能性があります。火災保険は絶対に入らなければいけないものではありませんが、万が一のリスク回避のため、加入しておいた方が安心です。ただし、空き家の場合保険会社側から加入を断られることがあります。

 

・空き家の修繕費・管理費

倒壊や不法占拠の可能性をなくすために、定期的なメンテナンスが必要になります。その際に修繕費や管理費が発生するでしょう。

 

 

■空き家の解体について

「空き家問題を解決するためには解体すればいい」と思うかもしれません。もちろん解体することがベストですが、解体には多額の費用がかかり、そう簡単に行えないケースがあります。

 

・自治体によっては空き家解体に補助が出るケースも

自治体によっては、空き家の解体に補助金を出してくれる場合があります。「老朽危険家屋解体撤去補助金」「空き家解体補助金」「空き家解体助成金」など、呼び名は自治体によって異なるため、まずは 自治体に確認しましょう。補助金の上限額なども自治体によって異なります。また解体時以外にも、空き家を活用することに補助金を出している自治体もあります。空き家に関してどのような補助があるのか、まとめて聞いてみることをおすすめします。

 

・解体後に土地を売却

空き地を解体して更地にすれば、売却しやすくなる場合があります。解体費用がかかったとしても、土地が売却できればコストを回収できるかもしれません。

 

■空き家の活用方法

不動産を所有することになった場合、自分で住むか売却するかどちらかを選ぶ人が多いでしょう。しかし、空き家は事情によってどちらも実行することができずに持て余しているケースが大半です。そこで、空き家を放置せずに活用する方法をいくつかご紹介します。

 

・リフォームをして居住する

所有した時点で人が住めるような状態ではなかったとしても、リフォームをすれば居住できるかもしれません。せっかく固定資産税や管理費を支払うのであれば、住居として活用した方がいいでしょう。

 

・人に貸す

自分自身が住まない場合、人に貸し出すという方法があります。賃料収入を得られるため、固定資産税などをまかなうことができる可能性が出てきます。

しかし、自分の資金を費やしたりローンを組んだりして新しくマンションなどを建てる場合は注意が必要です。不動産投資は知識とセンスが求められるため、安易な気持ちで始めるとリスクを負うことになってしまいます。慎重に行いましょう。

 

・駐車場にする

空き家を撤去し更地にして、駐車場として活用することもひとつの方法です。コインパーキング経営をする方法もありますが、収益物件と同じく、知識を得てから慎重に行いましょう。

 

・空き家バンクに登録する

自分で住むわけでもなく売却も難しい場合、「空き家バンクに登録」という活用方法があります。空き家バンクとは、空き家物件情報を地方公共団体のホームページ上などで提供し、利用希望者とのマッチングを図ることができるものです。

 

・隣地の所有者に売却する

立地が悪いなどの理由で売却ができない場合、隣地の所有者に声をかけてみるのもひとつです。「子ども家族のために敷地内に家を建てたいと思っていた」「駐車場のスペースを広げたいと思っていた」などの理由から、購入していただけるかもしれません。

 

・業者に売却する

一般の人や隣地の所有者に売却できない場合、買い取り専門業者に売却するの良いでしょう。売却額は低くなってしまうかもしれませんが、ビジネスライクに話しが進むため、トラブルなどの精神的負担が少なく不動産を手放すことができます。

双方が合意すればすぐに売ることができるため、現金化までがスピーディーに進むのもメリットです。

■空き家に関してお困りの方はプロにご相談を

空き家を不法占拠されている場合はもちろん、空き家を持て余している場合もプロに相談しましょう。現段階で空き家を所有していることにお悩みのことはなかったとしても、今後不法占拠や放火をされてしまったり、費用などの負担が重くかかってきたりするかもしれません。売却をしたり空き家バンクに登録したりと、空き家の活用方法は色々あります。プロに相談することで客観的に最適なアドバイスをもらえることでしょう。

 

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