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家族信託とは?活用方法をわかりやすく解説します

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社会の高齢化に伴い、認知能力を失った方の資産をどのように管理するかが深刻な問題となっています。

高齢者の財産管理を支援するために「成年後見制度」という制度があり、家族や法律家、ソーシャルワーカーなどが後見人に選任されています。しかし、この制度は、裁判所の監督のもと、成年後見人がやろうとすることにさまざまな制限があり、使いやすいものではありません。

 

そのため、2006年に成年後見制度の不備を補うために信託法が改正され、より使いやすい制度として「家族信託」が導入されました。

 

■家族信託とは

まず、家族信託の概要をご紹介します。

家族信託とは、本人(委託者)が意識のある健康な状態で、信頼できる家族(受託者)を選び、その人に財産の管理や処分を託す制度です。

そして、自分の財産を管理・運用した対価を受け取る人(受益者)を決めることができます。

 

信託というと銀行を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、信託銀行が管理する信託は財産管理というよりも資産管理に近く、必ずしも本人の希望や意向に沿うものではありません。

 

また、家族信託をできる家族について、どこまでが対象になるかというと、特に制限はなく、イトコや内縁の妻でも良いのです。

 

 

■家族信託はどのような場合に利用できるのか

では、どのような場合に家族信託を利用して、信頼できる家族を指定し、財産の管理や処分をしてもらうことができるのでしょうか?

 

・認知症対策

家族信託が使用される可能性が最も高いシナリオは、親が認知症になった場合です。

 

人間の平均寿命はますます長くなっています。

もちろん良いことばかりではありませんが、身体的には長生きできても、家計を管理する判断力が維持できないなどの問題も出てきます。

 

高齢になって認知症になることは珍しくありませんが、判断力が衰えたときに信頼できる人に財産管理を任せることができる制度があると安心ですよね。

 

・二次相続への対策

相続する相手を指定したいときによく使われるのが遺言書ですが、遺言書は自分の財産の直接の行き先(一次相続)しか指定できません。遺言で指定できるのは、自分の財産の直接の行き先(一次相続)のみで、財産の行き先となる人が亡くなった場合の「次の行き先」(二次相続)は指定できません。

しかし、家族信託などでは、自分の後の受益者として配偶者を、次の受益者として子供を指定することができます(代襲遺贈型継続信託)。

 

・共有名義人への対策

相続によって親の不動産が共有になることは珍しくありません。

他に目ぼしい資産がない場合や、遺産分割がうまく行われなかった場合などで、親の不動産を共有にせざるを得ない状況になる場合があるからです。

 

しかし、不動産を共有する場合には、しばしば問題が発生します。

例えば、売却するときは共有者全員の同意が必要だったり、運用する上での意見の対立や、収益の分配が平等ではなかったりと、後々トラブルに繋がることが多くあります。

 

このような場合、家族信託の強みは、共有者以外の親族の中から受託者を設定し、その人に管理を任せ、共有者全員を受益者とし、投資利益を受け取ることができることにあります。

 

■家族信託の当事者と役割

これまでの説明の中で出てきた信託の当事者と役割について見てみましょう。

 

家族信託では

 

委託者(自分の財産の全部または一部を管理・処分をお願いする側の人)

受託者(引き受けた財産を管理・処分する人)

受益者(信託財産の成果や処分の対価を受け取る人)

 

また、「委託者と受益者が同じ」というように、必ずしも3者ではないパターンもあります。他の類似制度と比べて、家族信託は比較的柔軟で使いやすい制度です。

 

■成年後見制度との違い

老後の財産管理を任せる制度として、家族信託と似たような制度に「成年後見制度」があります。

 

成年後見制度は、判断能力が低下した人を保護する必要がある場合に、裁判所に申し立てられる権利を持つ一定の範囲の人が「成年後見の申し立て」を行い、裁判所が親族や弁護士、ソーシャルワーカーなどを「成年後見人」として選任する制度です。

 

・成年後見制度

成年後見制度では、弁護士などの他者が介入することで「本人の財産の不当な侵害を防ぐ」ことを主な目的としていますが、現状では様々な問題点が指摘されています。

 

・本人の判断力が低下してから適用される制度なので、必ずしも本人の意思が反映されていないこと

 

・成年後見人が選任されると、意図した行為(遺産分割など)が完了しても、原則として判断能力が低下した人(被後見人)が死亡するまで成年後見を終了することができない

 

・成年後見制度は被後見人の財産を保護することを目的としているため、成年後見人は自分の判断で被後見人の財産を自由に管理することはできず、少額の財産を除いて家庭裁判所の監督を受けることになる。特に、居住用の不動産を売買するには許可が必要。

 

・成年後見人は、家庭裁判所に報告書を提出する義務があり、事務処理に追われる

 

・弁護士などの専門家後見人を選任した場合は、被後見人の財産に応じた報酬を継続して支払う必要がある

 

このような理由から、必要性があっても利用したくないと考える人が多いのです。

 

■家族信託のメリット

家族信託のメリットを見ていきましょう。

 

・委任者の判断能力に左右されない

どんな場合でも、子供が親名義の財産を代理できると考える人もいますが、本人確認が厳しくなった現在では難しいと考えざるを得ません。

 

通常、何もしなければ、判断能力を失った人が銀行からお金を引き出したり、不動産を売ったりすることはできませんし、子供が「代理人」を名乗ったとしても、「権限のある親」が代理人の権限を証明する委任状などに印鑑を押さなければ、手続きを行うことはできません。

 

家族信託は、特に受託者が高齢者の場合、財産の所有者である受託者が体調不良や認知症などで判断が困難になっても、受託者が自分の判断で財産を管理・処分することができるため、非常に便利です。

 

・委託者の希望に沿った財産や事業の承継ができる

前述のように、成年後見制度では、本人が判断能力を失った後に後見人が選任されるため、本人が後見人になってほしいと希望する人が必ずしも選任されるわけではなく、管理行為の内容自体は家庭裁判所の判断に委ねられます。

 

しかし、家族信託であれば、委託者は、委託者が信頼する受託者に、委託者の意思の範囲内で財産を託すことができ、委託者の死後の財産管理の方法まで指定することができます。

 

■家族信託のデメリット

では、家族信託のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

 

・人間関係のトラブル

誰が受託者になるかは、この制度から最大限の利益を得られるかどうかを決める重要な要素です。

 

信頼できる親族がいるのであれば、ぜひこの制度を利用すべきですが、あまり信頼関係のない親族に無理やり信託を押し付けた場合、受託者が適切な方法で運用しているかどうかでトラブルになる場合もあります。

そのような場合には、手数料を払ってでも専門の成年後見人を選任したほうがよいかもしれません。

 

また、家族信託の受託者は、財産の管理にのみ責任を負い、身の回りの世話には責任を負わないことにも注意が必要です。

 

 

・税務申告が必要

信託契約の期間中、受託者は毎年税務署に「信託明細書」と「信託計算合計表」を提出しなければならず、通常の確定申告よりも手間がかかります。

 

・損益通算ができない

通常は利益があっても損失がある場合は、損失分を所得から差し引くことができますが、「信託財産」の損失は差し引くことはできません。

 

■まとめ

家族信託とは、信頼できる家族を受託者として、自分の財産を管理してもらう方法です。

家族信託は、成年後見制度とは異なり、判断能力があるうちに、自分の財産を誰がどのように管理するかを決めることができるなどのメリットがあります。

 

所有者が認知症になってしまってからでは、対策を講じることができなくなります。

早く準備すればするほど、対策の幅が広がりますので、わからないことがあれば、専門家に相談するようにしましょう。

 

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