こんにちは。ワケガイ編集部です。
相続をきっかけに所有した空き家は、いざ売却したいと思ってもなかなか売れないケースが多々あります。
空き家が売れない背景には、立地条件、建物の老朽化、法的制限、価格設定、権利関係の未整理など、複数の要因が重なっているものです。放置が続くと管理費用の負担や近隣への影響が広がり、売却条件はさらに悪化するでしょう。
処分の選択肢は仲介だけでなく、古家付き土地としての売却や更地化、買取など多岐にわたるため、状況に合った方法を見極める必要があります。
本記事では、空き家が売れない理由から具体的な対策、処分の選択肢、注意点までを整理して解説します。
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目次
空き家が売れないときに考えられる主な理由
空き家が市場に出ても動きづらい背景には、共通して見られる特徴があります。単純に「古いから」「田舎だから」といった一言では片づけられず、地理的状況や建物の状態、さらには法律に関する条件が複雑に絡み合って売れ行きを左右するものです。
空き家が売れない代表的な要因としては、次のものが挙げられます。
- 理由①:需要が弱い立地・周辺環境にある
- 理由②:建物が老朽化し、破損が見られる状態にある
- 理由③:再建築不可など法的制限の対象になっている
- 理由④:境界や登記が不明瞭で、権利関係が整理されていない
- 理由⑤:販売価格が相場より高く設定されている
- 理由⑥:住宅ローン審査を通りにくい条件を抱えている
- 理由⑦:心理的瑕疵(かし)があり、購入が敬遠されやすい
それぞれ詳しく解説します。
理由①:需要が弱い立地・周辺環境にある
空き家が売れにくくなる背景として、周辺の需要が伸びにくい地域に位置しているケースがあります。人口減少が続く地方や郊外では、住宅ニーズそのものが細り、売りに出しても問い合わせが少なくなるのです。
買い手は「今後も住みやすいか」という視点で判断するため、生活利便性が低い場所では検討の段階で候補から外れることがよくあります。
物件そのものに魅力があっても、日常の買い物や医療機関へのアクセスに不安が残ると、長く暮らすイメージが描きにくくなります。特に高齢化が進む地域では、将来の交通手段や生活インフラに対する心配が重なり、住宅購入に踏み切る人が減少します。
理由②:建物が老朽化し、破損が見られる状態にある
建物の状態は、購入希望者が最初に確認する項目です。雨漏りやシロアリ被害、外壁のひび割れなどがあると、修繕費を見込む必要が生じ、購入のハードルが一気に上がります。老朽化が進んだ空き家では、劣化箇所が一つにとどまらず、構造部分に及ぶことも珍しくありません。
(出典:福井市「老朽危険空き家等除却支援事業(令和7年度)」)
買い手にとっては「どこまで修理が必要なのか」「追加コストがどれほどかかるのか」が読みにくい状態になるため、最初から候補として外される可能性が高まります。
さらに、現行の耐震基準に適合していない住宅の場合、住宅ローンが通りづらくなる点も売却に影響します。
理由③:再建築不可など法的制限の対象になっている
空き家の中には、建築基準法の道路要件を満たしていないために「再建築不可」と判断される物件があります。これは、現存する建物を取り壊してしまうと新たに家を建てられないため、買い手にとって使い道が限られる点が大きな懸念材料となります。
建物の価値ではなく土地の制約が障害となっているため、価格を下げたとしても購入者が見つかりにくくなります。
参考記事でも、再建築不可物件が市場で流通しにくい代表例として挙げられています。この種の物件は、法律上の制限が解除されない限り、通常の住宅として利用する選択肢がありません。
理由④:境界や登記が不明瞭で、権利関係が整理されていない
土地の境界がはっきりせず、どこまでが自分の敷地なのか判断しにくい状態では、買い手が安心して取引に踏み切れません。境界標が欠けていたり、長年手を入れていないために塀や樹木が曖昧なラインを作ってしまったりするケースもあります。
測量を行わないまま売却活動を進めると、後になって隣地との境界をめぐるトラブルが発生する恐れがあり、購入を検討している側に不安が残ります。地図と現況が一致しない土地は、金融機関の融資対象から外れる場合もあるため、商談が成立しにくくなります。
登記が整っていない場合も状況は似ています。相続の手続きが途中で止まっている、住所変更が反映されていない、名義人がすでに亡くなっているのに更新されていないなど、書類上の不整合があると、買い手は「誰と契約すればよいのか」「所有権移転がスムーズにできるのか」を判断しづらくなります。
理由⑤:販売価格が相場より高く設定されている
相場と比べて高い価格で売り出されている空き家は、問い合わせの段階から選択肢に入らないことがあります。売主にとっては価値ある家であっても、市場の相場は地域の需要や周辺の販売実績から成り立っており、これを外れると「割高な物件」という印象を持たれやすくなります。
特に空き家は「現状のまま住めるかどうか」や「修繕費がどれほど必要か」といった不安を買い手が抱えやすいため、相場より高い価格で挑むことが難しい状況にあります。
理由⑥:住宅ローン審査を通りにくい条件を抱えている
住宅ローンが利用できない、または使いづらい物件は買い手の層が極端に限られます。例えば、建物の老朽化が進み、大規模な修繕なしでは安全性が確保できないと判断された場合、金融機関は融資に慎重になります。
再建築不可物件のように、建て替えが不可能な土地も同様で、将来的な担保価値を確保できないと見なされるため、ローンの対象外となることが多いのです。
買い手にとって、現金購入は大きな負担になるため、検討段階で選択肢から外してしまうこともあります。また、境界未確定、未登記部分がある、増築部分が合法か不明といった、権利関係や構造上の曖昧さが残る物件は、金融機関の審査が通りにくくなる典型と言えます。
理由⑦:心理的瑕疵(かし)があり、購入が敬遠されやすい
空き家の中には、事故や事件、孤独死などが起きた履歴を持つものがあります。これらは法律上「心理的瑕疵」と呼ばれ、建物そのものに欠陥がなくても、買い手が不安を抱く理由になります。
住宅は生活の基盤となる場所であるため、こうした出来事があった物件は抵抗感を示す人が多く、売却価格を下げても反応が鈍いケースがあります。
(参考:国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」)
心理的瑕疵をめぐっては、告知義務の範囲が議論されることもありますが、買い手とトラブルにならないよう、売り主側が情報を整理しておくことが求められます。参考記事でも、心理的な要因が売却活動に影響することは繰り返し触れられていました。
関連記事:瑕疵物件とは?種類や告知義務、売却時の注意点を紹介
売れない空き家を放置するリスク
売却のめどが立たないまま空き家を置いておくと、所有者が気づかないところで負担が積み重なっていきます。経済的な負担だけではなく、建物の劣化や周囲への影響が大きくなるため、時間が経つほど売却のハードルが上がるという特徴があります。
特に影響が大きいリスクとしては、次のものが挙げられます。
- 管理費用や固定資産税の負担が続く
- 老朽化が進み、倒壊や火災の危険が高まる
- 害虫・害獣の侵入で衛生環境が悪化する
- 景観悪化により近隣トラブルを招きやすくなる
- 資産価値が下がり、将来の売却がさらに難しくなる
次項より、詳しく解説します。
管理費用や固定資産税の負担が続く
空き家は住んでいなくても所有している限り、固定資産税や都市計画税といった税負担が毎年発生します。住宅用地の特例が適用されている場合でも、更地に比べれば税額は抑えられるものの、売れないまま数年が過ぎると負担感が大きくなっていきます。(参考:総務省「固定資産税/都市計画税」)
固定資産税が毎年一定額かかる一方で、建物の価値は時間とともに下がるため、資産としてのバランスが崩れやすくなる点も見逃せません。
税負担以外にも、草木の手入れや郵便物の管理、通気や換気など、最低限の維持管理をしなければ建物の劣化が加速します。管理を怠った状態が続くと、雑草の伸びやゴミの堆積によって近隣に不快感を与える可能性もあります。
このような場合、市区町村から指導が入ることもあり、状況によっては改善命令を受ける
老朽化が進み、倒壊や火災の危険が高まる
使われていない建物は、人が住んでいる住宅より傷みやすい傾向があります。定期的に換気されないことで湿気がこもり、木材の腐食やカビの発生が広がります。外壁や屋根の劣化が進むと強風や大雨の際に破損しやすくなり、落下物が近隣に被害を与える危険もあります。
家具や壁紙が湿気を吸った状態では、害虫や小動物が住み着きやすく、内部の損傷がさらに進むことがあります。
このような老朽化が進むと、倒壊のリスクが現実味を帯びてきます。自治体が「特定空家」と判断した場合、所有者には改善指導が入り、従わないと固定資産税の優遇が外れ、課税額が増える可能性があります。
状況が改善されない場合には、勧告や命令が続き、最終的には行政代執行による解体が行われることになります。
この段階に至ると、費用は所有者に請求されるため、負担はさらに重くなります。
関連記事:空き家の防犯対策はどうすればいい?防犯グッズや役立つ知識を解説
害虫・害獣の侵入で衛生環境が悪化する
空き家は、人の出入りがなくなることで建物内部の温度や湿度が一定になりやすく、害虫や小動物が繁殖しやすい環境に変わっていきます。定期的に換気されない室内では湿気がこもり、ダニやゴキブリが増えやすい状態になります。
また、屋根裏や床下はネズミやハクビシンといった害獣が侵入しやすい空間で、糞尿による汚染や断熱材の破損が進むと、衛生面だけでなく建物の構造にも影響が出てきます。これらは放置されればされるほど被害が重なり、修復にかかる費用が増えるという悪循環に陥ります。
こうした状況は売却に直結する問題であり、衛生状態が悪い物件は内見の段階で敬遠されやすい傾向があります。空き家を長期間放置すると、見えない部分から損傷が進むことが多く、衛生と安全を確保する上でも定期的な管理が欠かせないと言えます。
景観悪化により近隣トラブルを招きやすくなる
空き家が手入れされないまま年月を重ねると、外観の傷みが目立ちやすくなります。塗装の剥がれ、庭木の伸び放題、フェンスの倒れ込みなど、見た目の変化は想像以上に早く訪れます。
特に雑草が生い茂った状態は地域の景観を損ね、周囲に“管理されていない家”という印象を与えます。このような状況は、空き巣や不法投棄のターゲットになりやすいとされ、近隣住民が不安を抱く原因にもつながります。
景観の悪化が周囲に及ぼす影響は精神的な負担にとどまりません。隣家の敷地に枝が越境したり、落ち葉が大量に流れ込んだりすると、直接的なトラブルに発展する場合があります。
資産価値が下がり、将来の売却がさらに難しくなる
空き家を放置すると、資産としての価値が着実に低下していきます。建物は使われない期間が長いほど傷みが進み、内部の修繕費が増えるため、市場に出したときに提示できる価格が下がりやすくなります。
特に木造住宅は湿気の影響を受けやすく、見た目にはわからない部分の劣化が進むと、売却前に大規模な工事が必要になることもあります。
資産価値の低下は建物だけに限りません。長期間管理されていない土地は、雑草の繁茂や越境、敷地の不衛生化によって地域のイメージを損ない、その地域の価格帯全体に影響が及ぶ場合があります。
売れない空き家を処分する際の現実的な選択肢
空き家の売却が思うように進まないとき、所有者が取れる選択肢はひとつではありません。建物の状態や立地、法的な制約によって、適した出口は大きく変わります。売却までに時間をかけられるか、できるだけ早く手放したいか、あるいは費用を抑えたいかなど、事情によって優先順位も異なります。
ここからは、市場で動きにくい物件でも検討しやすい方法を取り上げ、それぞれどのような状況で選ばれやすいのかを整理します。
- 訳あり物件の買取専門業者に依頼する
- 古家付き土地として売却する
- 建物を解体して更地で売却する
- 自治体の空き家バンクを活用して売却する
- 賃貸や活用に切り替えて収益化を図る
- 寄付や相続放棄などの手続を検討する
以下より、個別にみていきましょう。
訳あり物件の買取専門業者に依頼する
事故物件や再建築不可、老朽化が進んだ住宅など、一般の仲介では扱いが難しい物件を買い取る専門業者があります。仲介会社を通して買い手を探す方法と異なり、買取は業者が直接買主となるため、成約までの期間が短く、売却活動に伴う手間も大幅に抑えられます。
市場での評価が低い物件でも、業者は再生・再販を前提に価格を算出するため、売主側は「確実に引き取ってもらえる」という安心感を得られます。
もっとも、買取は仲介に比べて売却価格が下がる傾向があります。購入後の改修費やリスクを業者が負うためで、相場より金額は控えめになることが一般的です。それでも、費用倒れが気になる老朽空き家や、短期間で処分したいケース、遠方で管理が難しい場合には適した選択肢になります。
関連記事:空き家の買取価格を上げるコツとは?相場や業者選びのポイントを解説
古家付き土地として売却する
建物の状態が悪い場合でも、あえて解体せず「古家付き土地」として売り出す手法があります。買い手が建物を自由に扱えるため、解体やリフォームを自分の判断で進めたい層には受け入れやすい売り方です。
建物の劣化が激しくても「土地として利用する」前提なら検討されやすく、再建築ができる土地であれば候補に入りやすくなります。
古家付き土地として売却する最大の利点は、解体費を売主が負担しなくて済む点にあります。解体には数十万円から百万円以上かかることがあり、築古物件では大きな負担になりがちです。費用を抑えつつ売却につなげたい人にとって、無理のない選択肢となります。
建物を解体して更地で売却する
老朽化が進み修繕が難しい物件、心理的瑕疵がある物件、再建築可能な土地などでは、建物を解体してから売却する方法が取られることがあります。
更地は利用用途が広く、買い手が住宅用地としても駐車場や事業用としても検討しやすいため、売却の確度を高めやすくなるでしょう。特に、建物が傾いている、雨漏りが激しい、害獣被害が深刻といった場合には、建物を残すより更地のほうが取引が前に進みやすくなります。
ただし、解体費用が発生する点は避けて通れません。建物の規模や構造によって費用は変わり、早期の資金投入が必要になります。また、解体すると住宅用地の特例が外れ、翌年度以降の固定資産税が高くなる可能性があります。
自治体の空き家バンクを活用して売却する
一般的な不動産市場では動きづらい空き家でも、自治体が運営する「空き家バンク」を利用すると、別の層の需要につながることがあります。空き家バンクは、地方移住を希望する人や、低コストで住宅を確保したい利用者、古民家を活用したい事業者などが物件を探す際の窓口として機能しています。
通常の売買サイトとは異なり、地域に根ざした情報に触れやすいため、「立地は良くないが、生活に工夫の余地がある家」を評価する人が一定数存在します。
空き家バンクの特徴は、売主と買主が自治体を介してやり取りする仕組みが整っている点です。移住希望者とのマッチング支援や、改修補助金の案内など、地域ごとに提供されるサポートがあり、物件の魅力を伝えやすい環境が整っています。
また、登録物件が限定されているため、競合が多すぎて埋もれる心配が少ないという側面もあります。
賃貸や活用に切り替えて収益化を図る
空き家が売れない状況が続く場合、売却に固執せず賃貸として活用する方法も選択肢に入ります。短期的に現金化できるわけではありませんが、生活スペースとして再利用されることで維持管理がしやすくなり、収益が得られる可能性があります。
古民家カフェやアトリエとしての貸し出し、倉庫利用、月極駐車場への転用など、建物や立地の特徴に合わせた使い方が検討できます。
収益化を目指す場合、初期費用とのバランスを見ることが大切です。大幅なリフォームを施すのか、最低限の補修にとどめるかで投資回収期間が変わります。また、利用ニーズがあるエリアかどうかも検討したいポイントです。売却と賃貸を対立構造で考えるのではなく、「活用しながら価値の回復を図る」という位置づけで捉えると、選択肢が広がります。
寄付や相続放棄などの手続を検討する
市場で売却できず、賃貸としても活用が難しい場合には、寄付や相続放棄といった出口を検討する場面が出てきます。寄付は自治体や公益団体が受け入れ窓口になることがありますが、どの自治体でも受け付けているわけではなく、活用の見込みがある物件に限られることが多いのが実情です。
維持管理の負担を手放したい所有者が選ぶケースもありますが、寄付が成立するのは一定の条件を満たす場合に限られます。
相続した空き家であれば、相続放棄という選択肢もあります。ただし、相続放棄は負動産だけを放棄する仕組みではなく、故人の財産すべてについて権利を持たないことになる制度です。相続放棄を行うと、他の相続人に管理責任が移る可能性があり、家族間で調整しましょう。
期限も相続開始から原則3か月と定められているため、判断が遅れると選択肢から外れてしまいます。
売れない空き家を売却するための不動産会社選びのポイント
空き家の売却では、どの不動産会社に依頼するかによって結果が大きく変わります。特に、老朽化が進んでいる物件や再建築不可といった制限を抱える物件では、扱いに慣れた会社とそうでない会社の差がそのまま売却スピードや提案内容に反映されます。
不動産会社を選ぶ際に確認しておきたいのは、以下のようなポイントです。
- 空き家・訳あり物件の取扱実績があるかどうか
- 販売戦略の提案力が十分かどうか
- 査定額の根拠が明確に示されているかどうか
- 仲介と買取の両方に対応できるかどうか
- 地域の相場や需要に精通しているかどうか
- 担当者の説明や連絡が丁寧で信頼できるかどうか
それぞれ詳しく解説します。
空き家・訳あり物件の取扱実績があるかどうか
空き家の売却は、一般的な中古住宅の売却とは性質が異なります。老朽化、境界不明瞭、再建築の可否、心理的瑕疵の有無など、物件特有の事情を踏まえて販売活動を進める必要があるため、実務経験の差がそのまま対応力につながります。
実績のある会社は、空き家特有のリスクや売れにくさを理解しており、販売時にどの部分を補強すべきか、どのような買い手層が狙えるかといった判断をスムーズに行えます。
取扱実績が少ない会社の場合、売却活動が止まってしまうことがあります。例えば、老朽化が進んだ物件で必要な事前調査が抜けていたり、接道要件の確認が不十分だったりすると、内見の段階で買い手が不安を抱えたまま終わってしまい変えんません。
販売戦略の提案力が十分かどうか
空き家は、ただ売り出すだけでは反応が得られにくいことがあります。物件の弱点がはっきりしている場合ほど、「どう見せるか」「どこに需要を探すか」といった戦略の組み立てが必要になります。
提案力のある不動産会社は、売主の事情を踏まえた上で、価格設定、売り出す時期、広告の方法、ターゲット層などを組み合わせ、実現性のある販売計画を提示します。
物件の状況に応じて、古家付きとして売り出すか、更地化を提案するかなど、複数の選択肢を検討できる会社ほど対応力が高い印象があります。
一方で、戦略を示さない会社では「価格を下げて様子を見る」といった単調な方針に寄りやすく、結果として売却期間だけが引き延ばされることがあり、提案内容に根拠があるか、売却に向けて具体的な仕掛けを考えているかを見極めることで、どの会社が実際に動いてくれるのかが見えてきます。
査定額の根拠が明確に示されているかどうか
査定額は売却活動の出発点となるため、どのような基準で算出されているかを理解しておくことが大切です。信頼できる不動産会社は、近隣の成約事例、土地の条件、建物の状態、再建築の可否といった複数の要素を踏まえて査定額を説明します。
根拠が明確であれば、提示された金額に納得しやすく、売却活動の方針も固めやすくなります。
反対に、根拠があいまいな高額査定を提示する会社には注意が必要です。売主の期待を引きつけるために高めの査定を出し、売却活動が始まってから価格を下げるよう求めてくるケースが見られます。
仲介と買取の両方に対応できるかどうか
空き家の売却では、「仲介」と「買取」のどちらが適しているかは物件によって異なります。仲介は一般の買い手を探す方法で、高く売れる可能性はありますが、売却までに時間がかかる場合があります。
一方、買取は不動産会社が直接買い取る形式のため、価格は相場より低くなるものの早期の売却が期待でき、手続きも簡潔です。
この二つの方法を比較しながら提案できる不動産会社であれば、売主の事情や物件の特徴に合わせて柔軟に対応してくれます。
対応方法が仲介のみの会社では、老朽化が激しい物件や再建築不可の土地など、一般市場では動きにくい物件の売却が難航しやすくなります。結果として価格を大きく下げる提案が繰り返されることもあり、売主にとって不利益が生じがちです。
反対に、買取に対応している会社は、買い手が見つからない場合の“最終手段”として現実的な出口を提示できるため、選択肢の幅が広がります。
地域の相場や需要に精通しているかどうか
空き家の売却を進める上で、地域の相場や需要の傾向を正しく判断できる不動産会社は心強い存在です。不動産市場は全国一律ではなく、同じ市区町村でもエリアによって価格帯や買い手の層が大きく異なります。
周辺の成約事例や地価の推移、将来の開発計画などを把握している会社であれば、売却方針をより現実的に立てやすくなります。
地域への理解が不足している会社では、適切な価格設定ができず、売却のスタートからつまずくことがあります。相場より高く設定しすぎれば問い合わせが入らず、低く設定すれば売主が損をしてしまいます。
空き家のように条件が複雑な物件では、特に相場の読み違いが結果に直結しやすいため、地域の事情を細かく把握している会社を選ぶようにしましょう。
担当者の説明や連絡が丁寧で信頼できるかどうか
不動産会社を選ぶ際、担当者の姿勢は見過ごせない判断材料になります。空き家の売却は決めるべきことが多く、物件の状況によっては追加の手続きや調査が必要になることもあります。
そこで、状況をわかりやすく説明し、選択肢のメリットと負担を率直に伝えてくれる担当者であれば、安心して売却を任せやすくなります。
説明があいまいな担当者に当たった場合、売却の過程で思わぬ負担が生じる可能性があります。例えば、解体の必要性や法的な制約を十分に説明しないまま売り出した結果、買い手との交渉がこじれるケースなどです。
また、連絡が遅い担当者の場合、内見の調整や価格変更の判断が後手に回り、売却機会を逃すことにもつながります。
売れない空き家の処分で誤解されがちなこと
空き家を手放したいと考える人のなかには、「相続放棄すれば空き家だけ手放せるのでは」「自治体に寄付すれば簡単に引き取ってもらえるのでは」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際には、制度ごとに厳密なルールがあり、所有者が想像しているような“気軽な処分方法”とは程遠い仕組みになっています。ここからは、特に誤解が生じやすい四つのテーマを取り上げ、なぜ思い込みが起こりやすいのかを整理していきます。
相続放棄について
相続放棄は「負動産だけを放棄する制度」と誤解されがちです。しかし、実際は“相続財産全てについて権利を持たない”という手続きであり、空き家だけをピンポイントで手放すことはできません。
さらに、相続放棄には期限があり、原則として相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。この期限を過ぎると、放棄そのものができなくなります。
また、相続放棄をした場合でも、空き家の管理責任が即座に消えるわけではありません。相続人が全員放棄するまでは、民法上の「管理義務」が残る可能性があります。実際、固定資産税の納付通知が届くケースもあり、「放棄したのに負担が続く」状況に戸惑う人もいます。
(参考:e-Gov法令検索「民法」)
関連記事:空き家を相続する場合の判断基準とは?相続放棄についてもセットで紹介
賃貸経営について
空き家が売れないとき、「貸してしまえば収入が得られるのでは」という考えに行きつくことがあります。ただ、実際に賃貸として成り立つかどうかは、建物の状態・立地・需要の有無によって大きく変わります。
老朽化が進んだ空き家をそのまま貸し出すことはほぼ不可能で、多くの場合はリフォームが必要です。ところが、改修費が高額になるケースでは、賃料収入で投資を回収できない可能性が高くなります。
また、賃貸経営には入居者対応、設備不具合の修繕、家賃管理など、継続的な手間が伴います。空き家の所有者は遠方在住の場合も多く、日常的な管理負担が現実的ではありません。
自治体への寄付について
「売れないなら自治体に寄付してしまえばよい」と考える人もいますが、自治体が空き家を積極的に受け入れることはほとんどありません。
自治体側は管理コストがかかり、活用の見込みも不透明なため、基本的には寄付を断るケースが大半です。受け入れられるのは、公共利用が見込まれる場所や防災上の必要性がある土地など、ごく限られた条件の物件のみです。
寄付が成立したとしても、事前の測量や権利関係の整理など、負担が所有者側に残る場合があります。老朽化が著しい建物が残っている場合、自治体から「解体してからでないと受け取れない」と指摘されかねません。そのため、寄付は簡単な処分方法というより、「条件に合う物件だけが選ばれる例外的な手段」と捉える方が現実的です。
国への返還について
「国に返せばよいのでは」という相談も見られますが、日本には不要な不動産を国へ返す制度がありません。所有権は個人の権利であると同時に責任でもあるため、国が一律で引き取る仕組みは定められていません。
国庫帰属制度(相続土地国庫帰属制度)が2023年から始まりましたが、これは“土地のみ”を対象とした制度であり、建物が残っている場合は解体が前提です。
さらに、国庫帰属制度には厳しい審査基準が設けられています。管理が必要な土地、境界が曖昧な土地、崖地に近い土地などは申請が認められません。
売れない空き家を処分する際の注意点
空き家の売却や処分を進める際には、事前に理解しておきたい負担や手続きがあります。見落としがあると、途中で想定外の費用が発生したり、手続きが滞って売却がさらに遅れることにつながりかねません。
そういった状況を避ける上でも、以下のような点に注意する必要があります。
- 処分完了まで固定資産税や管理費用が発生する
- 解体費や測量費など追加コストが発生する
- 共有名義では他の相続人の同意が必要になる
- 瑕疵(かし)説明が不足するとトラブルにつながる
- 仲介売却と買取の価格差で判断を誤りやすい
- 放置期間が長いほど売却条件が悪化する
次項より、詳しく解説します。
処分完了まで固定資産税や管理費用が発生する
空き家を手放したいと考えていても、処分が完了するまでは固定資産税の負担が続きます。住宅用地の特例が適用されていれば税額は抑えられますが、売却が長引くと累積負担は軽いものではありません。
(参考:総務省「固定資産税」)
また、雑草の繁茂を防いだり、郵便物の処理を行ったりと、基本的な維持管理も必要になります。遠方から管理している所有者の場合、巡回管理を依頼する費用が加わることもあります。
状態を放置したままにしておくと、老朽化や近隣トラブルにつながり、売却条件がさらに悪くなるという“負の連鎖”が起きやすくなります。固定資産税と管理費用は静かに積み重なるため、処分の時期を後ろ倒しにすると、その間の出費が確実に増えていきます。
解体費や測量費など追加コストが発生する
空き家の処分では、売却だけを見ていると見落としがちな費用があります。代表的なのが解体費と測量費です。
老朽化が激しく、安全に住める状態にない物件では、買い手側が「更地のほうが扱いやすい」と判断することが多く、結果として売主が解体費を負担しなければ売却が進まないケースがあります。建物の構造や広さによって費用は変わりますが、数十万円から百万円を超える例も珍しくありません。
測量費も意外と負担が生じる項目です。土地の境界が不明瞭なままでは買い手が安心して契約できず、住宅ローンの審査にも影響が出る場合があり、境界確認の立会いが必要になること、隣地所有者との調整に時間がかかってしまいます。
共有名義では他の相続人の同意が必要になる
空き家が共有名義の場合、売却や解体といった重要な手続きには、共有者全員の同意が必要になります。誰か一人でも反対していると契約が進まず、売却機会を逃すことになりかねません。
相続で共有になった物件では、当事者全員の生活状況が異なり、空き家をどう扱うかの意見が揃わないまま年月が過ぎていることもよくあります。
共有者が遠方に住んでいる場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合には、合意形成に時間がかかります。売却価格や費用負担の分配でも意見が分かれることがあり、手続きが滞ってしまうケースも見られます。
また、認知症などで意思表示が難しい共有者がいる場合には、成年後見制度を利用するなど、さらに別の手続きが必要になることもあります。
瑕疵(かし)説明が不足するとトラブルにつながる
空き家の売却では、建物の状態や過去のトラブルについて、どこまで説明すべきか判断に迷うものです。とくに老朽化した家や、長期間手入れされていなかった物件では、売主自身も気づかない問題が潜んでいることがあります。
しかし、瑕疵に関する説明が不足すると、売却後に買主との間でトラブルに発展しやすくなります。雨漏り、シロアリ被害、越境、未登記部分、設備の欠陥など、事前に把握できた可能性のある情報を告げなかったと判断されると、契約解除や損害賠償請求につながるリスクが生じます。
心理的瑕疵がある物件では、説明範囲を巡って誤解が起きかねず、売主側が「言わなくてもよい」と思っていた事項が、買主にとっては大きな判断材料になる場合もあります。
仲介売却と買取の価格差で判断を誤りやすい
空き家が売れないとき、仲介と買取のどちらを選ぶべきかで悩む場面が増えます。仲介は相場に近い価格で売れる可能性がありますが、売却までの期間が読みにくく、内見対応や管理の負担が残ります。
一方、買取は早期に手放せる反面、仲介より売却価格が下がることが一般的です。この“価格差”だけを基準に判断してしまうと、結果的に負担が増える場合があります。
例えば、老朽化が進んだ空き家では、仲介で買主を募っても反応が薄く、価格を下げても決まらないケースも存在します。その間も固定資産税や管理費用は積み重なり、最終的には買取
重要なのは、価格差を見るだけでなく、「どの方法が自分の負担を最小限にできるか」「どれだけの期間を許容できるか」を冷静に判断することです。仲介と買取を両方扱う不動産会社であれば、物件に応じた現実的な選択肢を提示しやすいため、相談の段階で比較検討の材料を十分に集めることが大切です。
放置期間が長いほど売却条件が悪化する
空き家は、時間が経つほど売却条件が厳しくなる特徴があります。建物は人が住んでいない状態が続くと傷みが早まり、内部の湿気、木材の腐食、害虫・害獣被害が拡大します。外構の劣化も進み、見た目の印象が悪くなると買主の検討対象に入りにくくなります。
こうした劣化は積み重なるため、数年放置するだけで修繕費が大幅に増えることが珍しくありません。
売却に影響するのは建物だけではありません。雑草の繁茂や越境、ゴミの堆積は近隣からの苦情につながり、自治体から指導を受けることもあり、特定空家に指定されると固定資産税の優遇が外れ、税負担が増える可能性もあります。
空き家を処分する際に使える補助制度例
空き家の片付けや改修、解体には一定の費用がかかります。処分をためらう理由のひとつがこの経済的負担ですが、自治体によっては所有者の負担を軽減するための補助制度を用意しています。
補助の内容は地域ごとに異なり、家財整理に限定した制度もあれば、耐震改修や地域活用にまで対象を広げているものもあります。売却や利活用の方向性を検討する際、こうした制度を活用できるかどうかを事前に確認しておくと判断しやすくなります。
【東京都】空き家家財整理・解体促進事業
東京都では、空き家問題の解決に向けて所有者の負担軽減と利活用の促進をめざした支援制度を複数用意し、区市町村との連携で包括的なサポートを行っています。
都内の空き家について相談する際は、まず東京都空き家ワンストップ相談窓口を利用することが勧められています。ここでは、空き家の現況や希望する処分方法を整理したうえで、該当する支援制度の案内から申請手続きまで一貫した支援が受けられます。
(参考:住宅政策本部「補助金一覧」)
代表的な支援策として、空き家の状態の早期解決や利活用を促進するための家財整理・解体促進事業補助金があります。
これは、家財整理費用に対して費用の2分の1(上限5万円)、建物解体費用に対して費用の2分の1(上限10万円)が交付される制度で、所有者の負担を軽減しながら次のステップへつなげることを目的としています。申請には空き家ワンストップ相談窓口への事前相談が条件となります。
(参考:住宅政策本部「東京都空き家家財整理・解体促進事業」)
対補を受けたい場合、まずは東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談してみましょう。

(出典:住宅政策本部「東京都空き家ワンストップ相談窓口」)
【大阪市】空家利活用改修補助制度
大阪市の「空家利活用改修補助制度」は、空き家を安全に活用できる状態へ整えるための改修費の一部を補助する仕組みです。特徴は、一般的なリフォームではなく、インスペクション(既存住宅状況調査)や耐震改修、省エネ改修など、住宅としての性能向上に関わる工事が対象となっている点です。
(参考:大阪市「空家利活用改修補助制度」)


(出典:大阪市「空家利活用改修補助制度」)
制度には複数の区分があり、住宅として再利用する「住宅再生型」、地域活動の拠点とする「地域まちづくり活用型」など、活用目的に応じた支援メニューが用意されています。築古住宅が多い大阪市では、耐震性能を確保した上で活用することが課題となっているため、この制度が利活用の後押しをしています。
【福岡市】地域貢献等空き家活用補助金
福岡市が実施する「地域貢献等空き家活用補助金」は、空き家を地域の施設や子育て世帯向けの住宅として再生する際に活用できる補助制度です。空き家をただ売却するのではなく、「地域資源として再生する」という視点を採り入れている点が特徴です。
(参考:福岡市「福岡市地域貢献等空き家活用補助金」)
制度は大きく「子育て居住型」と「地域貢献型」に分かれています。子育て居住型では、子育て世帯の定住促進を目的とした住宅改修を対象とし、地域貢献型では子ども食堂、コミュニティスペース、福祉施設など、地域活動に活用する場合の工事費を支援します。
空き家をそのまま放置するのではなく、地域の課題解決につながる資源として再生する流れを後押しする制度と言えます。
売れない空き家は「ワケガイ」にご相談ください!

当社(株式会社ネクスウィル)は、訳あり物件の買取に特化したサービスであるワケガイを提供しています。老朽化が進んだ空き家や共有名義の不動産、再建築不可の土地など、通常の市場では買い手が見つかりにくい物件でも、現状のままお引き取りできる点が特徴です。
空き家は放置期間が長くなるほど売却条件が悪化し、管理負担も増えていきますが、ワワケガイでは最短即日の買取提示が可能で、手続きを専門家と連携しながらスムーズに進められます。
相談の段階から費用が発生することはなく、全国どこからでもお申し込みいただけます。空き家の出口に悩まれている方は、お気軽に無料査定をご活用ください。
FAQ:空き家が売れない問題に関するよくある質問
ここまで、空き家が売れない理由や放置するリスク、処分の選択肢について解説してきましたが、実際に多く寄せられるのは「自分のケースはどう判断すればいいのか」という具体的な疑問です。
空き家の状況は一軒ごとに異なり、一般論だけでは判断しづらい場面も少なくありません。そこで以下では、空き家が売れない問題について、相談の多い質問を取り上げ、実務的な視点から整理していきます。
空き家を売りに出さないケースにはどんな理由がありますか?
空き家が市場に出されない背景にはいくつかの事情があります。相続人同士の意見がまとまらず、売却の同意形成に時間がかかるケースは珍しくありません。また、家財がそのまま残っており片付けに踏み切れない、固定資産税の負担を把握しないまま放置してしまう、といった理由も見られます。
売れない実家を手放すにはどのような方法がありますか?
売れない実家でも、状況に応じて複数の出口があります。一般的には仲介による売却を検討しますが、老朽化が進んでいる場合や再建築不可などの制限がある場合には、古家付き土地として売り出す方法や、解体して更地化した上で売却する方法があります。時間をかけずに手放したい場合には、買取専門業者を利用するのが有効です。
空き家はどれくらいの期間放置しても問題ありませんか?
空き家は、放置期間が数年単位になると劣化が急速に進みます。換気がされないことで湿気がこもり、内部の腐食・カビの発生が広がりやすくなります。庭木や雑草の繁茂、害獣・害虫の侵入も起こりやすく、近隣トラブルや自治体からの指導につながることがあります。
築20年の家は3000万円からどれほど価値が下がるのですか?
建物の価値は築年数と仕様、立地によって変動しますが、木造住宅の場合、築20年を過ぎると建物部分の評価が大きく下がる傾向があります。一般的には、築20年時点で建物の資産価値が大幅に減価し、土地の評価が価格の中心となります。
まとめ
空き家は時間の経過とともに劣化が進み、手間や費用の負担が増えます。売れない状況が続くと、管理不足による近隣トラブルや倒壊リスクが現実味を帯び、結果として売却の条件がさらに厳しくなります。
まずは建物の状態や権利関係を整理し、価格設定や売却方法を見直してください。仲介と買取を比較し、古家付きでの売却や更地化など、複数の選択肢を検討することで出口が見えやすくなります。
補助制度の活用や専門家への相談も有効です。空き家問題を先送りにせず、現状に合った方法を選ぶことで、負担を抑えながら前へ進めます。











