共有名義の建物を解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。無断で解体すると、他の共有者とのトラブルや損害賠償請求につながります。
住宅ローンが残っている場合や共有者が死亡・行方不明の場合は、簡単に解体できず適切に手続きしなければなりません。
本記事では、共有名義の建物を解体する条件や手順、費用の目安、共有者の同意が得られない場合の対処法を解説します。

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共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有する場合に、それぞれが持つ所有権の割合のことです。例えば、実家を兄弟3人で均等に相続した場合、各自の共有持分は「3分の1」となります。
ただし、共有持分は不動産の特定の部分を所有するという意味ではありません。不動産全体に対して、持分割合に応じた権利を持つことを意味します。
この権利を共有持分権といい、夫婦で購入したマイホームや、兄弟で相続した実家など、複数人で不動産を所有する場合に発生します。
関連記事:共有持分とは?不動産を共有し続けるリスクや共有状態の解消方法を解説
共有持分で所有している不動産は解体できる?

共有名義の建物も解体できますが、原則として共有者全員の同意が必要です。また、住宅ローンが残っている場合は、金融機関への確認も必要になります。
共有者全員の同意があれば解体できる
共有名義の建物を解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。 建物の解体は、共有物の形状や効用を大きく変更する行為に該当するためです。
民法では、共有不動産に対する行為を以下のように区分しています。
| 行為の種類 | 必要な同意 | 主な行為 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 各共有者が単独で実施可能 | 破損箇所の応急修繕など |
| 管理行為・軽微な変更 | 持分の価格の過半数 | 通常の管理、外壁や屋上防水の修繕など |
| 変更行為 | 原則として共有者全員の同意 | 建物の解体・建て替えなど |
(参考:e-Gov法令検索「民法第251条・第252条」)
2023年4月施行の改正民法では、形状や効用に著しい変更を伴わない「軽微な変更」は、持分の価格の過半数で決定できるようになりました。
ただし、建物の解体は軽微な変更には該当しないため、原則として共有者全員の同意が必要です。
住宅ローン返済中でも金融機関の承諾があれば解体できる
住宅ローン返済中の建物を解体する場合は、事前に金融機関へ相談し、必要な承諾を得ることが重要です。
住宅ローンを利用している場合、金融機関が建物に抵当権を設定していることがあります。抵当権とは、ローンの返済が滞った際に、不動産を売却して貸付金を回収できる権利です。
抵当権が設定された建物を無断で解体すると、担保価値が失われ、契約違反となるおそれがあります。場合によっては、ローン残債の一括返済を求められる可能性もあります。
そのため、解体や建て替えを検討する際は、住宅ローンの契約内容を確認し、金融機関に必要な手続きを相談しましょう。
解体後の「滅失登記」は共有者単独で行える
共有名義の建物でも、解体後の「建物滅失登記」は共有者の1人が単独で申請できます。
建物滅失登記とは、建物がなくなったことを登記簿に反映する手続きです。不動産登記法により、解体後1か月以内に申請する必要があります。
正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。また、登記簿上に建物が残り、土地の売却や建て替えの際に支障が生じるおそれもあります。
手続きには、主に以下の書類が必要です。
- 建物滅失登記申請書
- 解体業者が発行する建物滅失証明書
- 解体業者の資格を証明する書類など
必要書類をそろえて、建物の所在地を管轄する法務局に申請します。
なお、建物の解体には原則として共有者全員の同意が必要ですが、解体後の滅失登記には全員の同意は不要です。
共有不動産を解体する手順

共有名義の建物を解体するには、共有者全員の同意や住宅ローンの確認などが必要です。
ここでは、解体までの流れを4つの手順に分けて解説します。
- 手順①:共有者全員の同意を得る
- 手順②:ローン残債を確認し、金融機関の承諾を得る
- 手順③:解体業者を選び、見積もりを取得する
- 手順④:解体後、法務局で建物滅失登記を行う
手順①:共有者全員の同意を得る
共有名義の建物を解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
建物の解体は、民法上の「変更行為」に該当するため、持分割合にかかわらず、共有者全員の合意が求められます。
後々のトラブルを防ぐためにも、解体費用の負担割合や工事内容などを話し合い、合意内容を書面に残しておきましょう。
なお、共有者が亡くなっている場合や行方不明の場合は、相続人の確認や裁判所での手続きが必要になることがあります。
(参考:e-Gov法令検索「民法」)
手順②:ローン残債を確認し、金融機関の承諾を得る
住宅ローンが残っている場合は、金融機関に相談し、必要な承諾を得てから解体を進めましょう。
住宅ローン返済中の建物には、金融機関の抵当権が設定されていることがあります。無断で解体すると担保価値が失われ、契約違反によってローンの一括返済を求められるおそれがあります。
金融機関への相談では、解体計画や工事費用の見積書などを求められる場合があります。
必要な書類や手続きは金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
手順③:解体業者を選び、見積もりを取得する
共有者全員の同意や住宅ローンの問題を整理したら、解体業者を選定します。
業者を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 解体工事に必要な建設業許可、または解体工事業登録があるか
- 工事中の事故に備えた損害賠償保険に加入しているか
- 解体費用や追加料金の条件が明確になっているか
見積もりは2〜3社から取得し、金額だけでなく工事内容や対応範囲も比較することが重要です。
手順④:解体後、法務局で建物滅失登記を行う
建物の解体が完了したら、1か月以内に法務局で建物滅失登記を申請します。
建物滅失登記とは、建物がなくなったことを登記簿に反映する手続きです。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
申請には、主に以下の書類が必要です。
- 建物滅失登記申請書
- 建物滅失証明書(解体業者が発行)
- 解体業者の印鑑証明書や資格証明書(省略できる場合あり)
必要書類をそろえ、建物の所在地を管轄する法務局に提出しましょう。
なお、共有名義の建物でも、滅失登記は共有者の1人が単独で申請できます。
共有者が死亡・行方不明でも解体の同意は取れる?
共有者が死亡・行方不明の場合でも、相続人の同意や裁判所の手続きによって建物を解体できる可能性があります。
| 共有者の状況 | 主な対処法 |
|---|---|
| 死亡している場合 | 相続人を特定し、共有持分を引き継いだ相続人から解体の同意を得る |
| 行方不明の場合 | 所在調査を行い、裁判所の決定や不在者財産管理人の制度を利用する |
【共有者が死亡している場合】相続人から同意を得る
共有者が亡くなっている場合は、その共有持分を引き継いだ相続人から解体の同意を得る必要があります。
まずは登記事項証明書や戸籍などを確認し、相続人を特定しましょう。遺産分割が済んでいない場合は、原則として相続人全員の同意が必要です。
なお、建物を解体するために、必ずしも事前の相続登記が必要になるわけではありません。相続人全員の同意が得られれば、相続登記をせずに解体できる場合もあります。
ただし、相続人が多い場合や権利関係が複雑な場合は、司法書士や弁護士に相談しながら進めましょう。
【行方不明の共有者がいる場合】裁判所の手続きを利用する
共有者の所在が分からない場合は、裁判所の手続きを利用して解体を進められる可能性があります。
2023年4月施行の改正民法では、必要な調査をしても共有者の氏名や所在が分からない場合、裁判所の決定を得て、所在不明者を除く共有者全員の同意で共有物を変更できる制度が設けられました。
(参考:法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」)
また、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる方法もあります。この場合、建物の解体について別途家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
ただし、単に連絡が取れないだけでは、これらの制度を利用できるとは限りません。 所在調査や裁判所での手続きが必要になるため、早めに弁護士などへ相談しましょう。
共有不動産の解体にかかる費用はどのくらい?
共有不動産の解体費用は、建物の構造や広さによって異なります。また、共有者間で費用の負担割合を決めておくことも重要です。
解体費用の相場
建物の解体費用は、木造で坪あたり4〜5万円、軽量鉄骨造で6〜7万円、鉄筋コンクリート造で7〜8万円程度が目安です。
| 建物の構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合 |
|---|---|---|
| 木造 | 4〜5万円 | 120〜150万円 |
| 軽量鉄骨造 | 6〜7万円 | 180〜210万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 7〜8万円 | 210〜240万円 |
ただし、建物の立地や老朽化の状態、アスベストの有無などによっては、追加費用が発生する場合があります。
また、自治体によっては空き家の解体費用を補助する制度が設けられています。解体前に自治体のホームページなどで確認しましょう。
費用の負担割合はどう決める?
共有不動産の解体費用は、共有者全員で話し合い、負担割合を決めることが重要です。
民法第253条では、共有物の管理費用などを各共有者が持分割合に応じて負担すると定めています。(参考:e-Gov法令検索「民法第253条」)
ただし、建物の解体費用については、必ずしも持分割合どおりの負担になるとは限りません。
共有者間で合意すれば、1人が全額を負担することも、均等に分担することも可能です。後々のトラブルを防ぐためにも、解体前に負担割合や支払い方法を書面で取り決めておきましょう。
どうしても他の共有者の同意が得られない場合の代替案
共有名義の建物を解体したくても他の共有者から同意を得られない場合は、以下の3つの方法を検討しましょう。
- 共有物分割請求訴訟を検討する
- 他の共有者の持分を買い取って単独名義に切り替える
- 自分の持分を第三者に売却する
共有物分割請求訴訟を検討する
共有者との話し合いで合意できない場合は、共有物分割請求訴訟によって共有関係の解消を求める方法があります。
共有物分割請求訴訟とは、裁判所に共有不動産の分割方法を決めてもらう手続きです。民法第258条に基づき、主に以下の方法で分割が行われます。
| 分割方法 | 内容 |
|---|---|
| 現物分割 | 土地を分筆するなど、不動産を物理的に分けて各共有者が取得する |
| 賠償分割(代償分割) | 一部の共有者が不動産を取得し、他の共有者に持分相当額の金銭を支払う |
| 競売による換価分割 | 他の方法で分割できない場合などに、裁判所が競売を命じ、売却代金を分配する |
ただし、訴訟を起こしても、希望する方法で分割できるとは限りません。また、解体そのものの許可を得る手続きではないため、裁判によって共有関係を解消した後に解体を進めることになります。
訴訟には時間や費用がかかるため、弁護士に相談しながら検討しましょう。
他の共有者の持分を買い取って単独名義に切り替える
他の共有者の持分をすべて買い取り、不動産を単独名義にする方法です。単独所有になれば、他の共有者の同意を得ずに解体できます。
まずは不動産会社に査定を依頼し、評価額をもとに買取金額を交渉します。双方が合意したら売買契約を締結し、所有権移転登記を行います。
ただし、持分の買取りにはまとまった資金が必要です。また、登録免許税などの費用がかかるほか、住宅ローンが残っている場合は金融機関との調整が必要になることもあります。
自分の持分を第三者に売却する
他の共有者との合意が難しい場合は、自分の共有持分だけを第三者に売却する方法もあります。
共有持分は、他の共有者の同意を得ずに売却できます。そのため、建物の解体や不動産全体の売却が進まなくても、自分の持分だけを手放すことが可能です。
ただし、共有持分は利用や処分に制約があるため、不動産全体の評価額に持分割合を掛けた金額よりも、売却価格が低くなる傾向があります。
そのため、共有持分の買取りを専門とする不動産会社に査定を依頼し、売却価格を確認することが重要です。
解体の同意が得られず、共有持分を手放すことも検討している場合は、以下の簡易査定で価格の目安を確認してみましょう。

共有持分の解体が難しい場合は「ワケガイ」にご相談ください!

当社(株式会社ネクスウィル)は、共有持分や再建築不可物件などの訳あり不動産に特化した買取サービス「ワケガイ」を提供しています。
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司法書士や弁護士とも連携し、複雑な名義関係の整理から買取までを一貫してサポート。共有名義のままでも売却可能なケースもございますので、まずはお気軽に無料査定をご活用ください。
共有持分の解体に関するよくある質問
相続した建物の解体費用はどのくらいかかる?
解体費用は建物の構造や広さによって異なり、木造で坪あたり4〜5万円、軽量鉄骨造で6〜7万円、鉄筋コンクリート造で7〜8万円程度が目安です。ただし、立地やアスベストの有無などによって追加費用が発生する場合もあります。また、解体後は土地の固定資産税が高くなる可能性があるため、自治体の補助金制度とあわせて事前に確認しましょう。
共有の建物は、共有者の同意なしに解体できる?
共有名義の建物を解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。持分割合が少ない共有者であっても同意が必要となり、無断で解体すると損害賠償を請求されるおそれがあります。ただし、共有者が行方不明の場合などは、裁判所の手続きによって解体できる可能性もあります。
所有者が亡くなった後、相続登記をしないまま解体できる?
相続登記が済んでいなくても、相続人全員の同意があれば建物を解体できる場合があります。ただし、相続人を特定するために戸籍などの確認が必要です。また、解体後は1か月以内に建物滅失登記を申請する必要があります。手続きが複雑な場合は、土地家屋調査士などに相談しましょう。
共同名義のまま亡くなった場合、相続はどうなる?
共有者が亡くなると、その人の共有持分は相続人に引き継がれます。相続人が複数いる場合は、さらに共有者が増え、不動産の売却や解体について合意を得ることが難しくなるおそれがあります。権利関係が複雑になる前に、遺産分割協議や相続登記を進めることが重要です。
共有持分を勝手に売却された場合はどうすればいい?
他の共有者が自分の持分だけを売却する場合、原則として他の共有者の同意は必要ありません。売却によって新たな共有者が加わった場合は、その共有者と不動産の管理や処分について話し合う必要があります。共有関係を解消したい場合は、相手の持分を買い取る方法や、共有物分割請求訴訟などを検討しましょう。
まとめ
共有名義の建物を解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。また、住宅ローンが残っている場合は、金融機関への確認や承諾が必要になることもあります。
他の共有者から同意を得られない場合は、持分の買取りや共有物分割請求訴訟、自分の持分の売却などを検討しましょう。
まずは共有者や住宅ローンの状況を確認し、解体が難しい場合は弁護士や不動産会社などの専門家に相談することが重要です。




















